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東京商工会がWindows XPからの移行支援セミナーを開催、リスクや注意点を解説 (Windows 7か8か? 選択ポイントを紹介)

Windows 7か8か? 選択ポイントを紹介

大塚商会 共通基盤プロモーション部 フロントラインプロモーション課の和田力課長

 システムの移行に関しては、「今年4月から、日本全国で50回のセミナーを実施し、1500社の方が受講している」という、大塚商会 共通基盤プロモーション部 フロントラインプロモーション課の和田力課長が、「Windows XPサポート終了まで、あと4カ月!失敗しないOS選びとOS移行の留意点」というタイトルで講演を行った。

 まず和田氏は「これは実際のサイトで表示されているものです」と、ソフトメーカーがWebサイトに表示しているページを表示。「いろいろと書かれていることを要約すると、OSに問題があってアプリケーションに問題が起こったとしても、サポート終了後は何の対策も行わないということになる。Windows XPのサポート終了後は、使っているソフトウェアが、OSに起因する異常で業務に支障が起こるようなトラブルを起こしても、一切サポートしないということになる」と、サポート終了がセキュリティ以外にもトラブルを起こす要因となることを指摘した。

 大塚商会自身を例にとって、「取引先が、サポート期間終了後もWindows XPを使い続けていることは望ましくないと考える。おそらく、同様に考える企業は多いのではないか」と取引状況にマイナス影響を及ぼす事態に発展することも示唆した。

 実際に中小企業向けビジネスを行う大塚商会の実感としては、「2013年10月に、Windows XPのシェアは前年から20ポイント程度減少して30.8%になったという報告があったが、中小企業に関しては、いまだに50%を超えるシェアがあるのではないか。現時点でも1000万台程度が残存していると推定される」と、いまだに多くのXPパソコンが使われているのではないかと話す。

 さらにセミナーで接したアンケート結果から、「Windows XPのサポートが終了した2014年6月末時点でも、法人パソコン3500万台の1割にあたる371万台のXPパソコンが残存するのではないかと推定する」とした。

 これからWindows XPパソコンから新しいOSへの移行を行うにあたっては、「利用中のパソコンをそのまま使い続け、OSのみアップグレードしたいという場合は、Windows 7もしくは8にアップグレードすることになるが、その場合はCPUの動作周波数が1GHz以上、グラフィックスがDirectX 9対応、メモリが、32ビット版の場合は1GB以上、64ビット版の場合は2GB以上、HDDの容量は32ビット版で16GB以上、64ビット版で20GB以上が必要。この条件にあてはまるのは、購入して3年以内のパソコン。3年以内の場合は、本来はWindows 7/8が動くものの、あえてダウングレードしてXPを使っている場合がある。しかし、購入してから3年以上経過したパソコンは最新のパソコンへの買い換えをオススメする」と話す。つまり、購入後3年以内のパソコンならOSのみのアップグレードも可能な場合がある。

Windows XP対策準備は?
パソコン買い換えか否かは購入後3年が目安に

 パソコンを買い換える場合には処理が高速になる、Windows 8の場合はタッチ操作が行えるなどのメリットがあるが、さらに「省電力化が進んでいるため、節電対策としても効果が大きい」と和田氏は指摘した。

 大塚商会では社内のパソコンを2011年7月にWindows XPのデスクトップからWindows 7のノートパソコンに切り替え、LED電球への切り替えたことなどの要因もあって、「2年前と比較して消費電力は50%削減している。その要因の一つがパソコンの切り替え」となった。

 起動時間も、XP時代は3分だったのに対し、Windows 7では1分で立ち上がるため、「私自身、朝の作業楽になったと感じている」という実感も披露された。

最新Windows導入のメリット

 Windows XPから切り替えるOSとしてはWindows 7、Windows 8と大きく2つの選択肢がある。和田氏が行うセミナーで取ったアンケートでは2013年4月~6月の3カ月間と、9月-10月の2カ月に行ったアンケートでは結果に違いが出た。4月-6月ではWindows 7を選択するという回答が81.8%で、Windows 8という回答は7.5%だったのに対し、9月-10月ではWindows 7が69.9%、Windows 8が15.0%とWindows 8を選択肢として検討する企業数が増加している。

 「実は4月前に行った別のセミナーでは、テーマが違ったこともあるがもう少しWindows 8の人気が高かった。だが、その後Windows 8はスタートボタンが消えていたり、タッチUIに対する違和感が多く報道されたりしたこともあって、人気が落ちていた。それが再び盛り返したのは、日本マイクロソフトによるSurfaceの発売、Windows 8.1の登場といった、明るいニュースが要因となっている」

 企業でのWindows 8の全面採用例としても、フジテレビが全社のデスクトップパソコンをWindows XPから、Windows 8に移行することが報道されるなど、「企業の選択肢としての状況が変わってきた」という。

 サポート終了までの期間をはじめ、それぞれの特色で比較するとWindows 7は発売から4年経過し、サポート終了は2020年1月となる予定。OS自身の安定性、ソフト/ハードベンダーの対応、サポート体制も充実しているが、タブレットとしての利用はWindows 8には劣る。一方Windows 8は発売から1年で、サポート終了は2023年1月となる予定。モバイルでの活用、タブレットとしての利用では優位であり、USB 3.0、Bluetooth LE、NFCなど新しいデバイスに対応といった優位点はあるものの、いまだ対応していないアプリなどが多く、操作もXPに比べると違いが大きく戸惑いが大きい。

 両製品とも複数のエディションが存在するが、「企業での使用であることから、原則的にProfessional、もしくはEnterprise Editionを選択してほしい」ことも説明された。

人気を盛り返しているWindows 8
4種類あるWindows 8
Editionも複数あるWindows 7/8
Windows 7と8の比較
入れ替えスケジュール例

 こうした情報を理解した上でOSを選択することになるが、移行準備については「すぐに初めてほしい」というのが、移行支援を行う大塚商会からの願い。

 「8月時点で作成した移行スケジュールを紹介するが、あえて中身をそのまま、時間を短縮して紹介する。企業で利用している場合にはシステム改修などが必要となるが、そのためのSEの数は今から足りなくなることが予想されている。そうした状況を考えると、対応が間際になればなるほどリスクが高くなることが見込まれるので、早急に移行を開始してほしい」。

 移行に向け、「計画確認項目」、「検証準備確認項目」、「導入・展開確認項目」、「教育・サポート体制確認項目」と実際の移行に関するチェック項目が紹介され、「移行には各ステップにおける検討事項が多数存在する」と企業の移行作業は容易ではない。

 特に問題となるのがアプリケーションの互換性問題。利用しているアプリケーションがWindows 7/8に対応しているのか、新OSに実装された新機能、実装の変更の影響をどう受けるのかといった問題がある。ExcelやAccessでマクロを利用している場合は、Officeのバージョンが異なるだけでマクロが動かなくなることもある。IEもWindows 7ではIE8、Windows 8ではIE10となるため、IEのバージョンが変わることで動作しなくなるWebシステムも存在する。

 「アプリケーションの問題は決して容易ではない。大塚商会では各種移行支援サービスを提供している。すべての問題を解決できるわけではないが、できるだけリクエストにお応えできるようサービスを用意しているので、できるだけ早急にお申し込みいただきたい」と訴えた。

移行へのチェック項目
アプリケーションの互換性問題
マクロの互換性問題
大塚商会が提供する各種移行支援サービス

(三浦 優子)