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【OpenStack Summit基調講演】中国の導入事例、HPやRed Hatの取り組み、次期OpenStackのコンポーネント紹介など (次期OpenStackのコンポーネントを紹介)

次期OpenStackのコンポーネントを紹介

 ここでRed HatのOpenStackへの「参加」の面で、McLoughlin氏が交代して語った。McLoughlin氏はまず、歴史上の数々のイノベーションが登場当時に否定的な評価を受けてきた様子を映像化した動画を流し、続いてOpenStackへのかつての否定的な評価を紹介した。そのOpenStackは、今回のOpenStack Summitのように、多くの開発者や企業などを集めるまで成長している。

 Loughlin氏は自身のOpenStackへの関わりについて、「仲間といっしょにエキサイティングなプロジェクトを進めてきた」として、コミュニティの重要性を述べた。「OpenStackは一人一人の貢献が集まってマジックを生み出す。一方で企業のバックアップもあり、両者がジレンマとなるのではという声もあるが、Red Hatは両者の思いを一致させられる」(Loughlin氏)。

 ここでLoughlin氏は、OpenStackのコンポーネントの歴史をふり返った。NovaとComputeの2つのコンポーネントから始まったOpenStackは、しだいにコンポーネントを増やしていき、2012年のFolsomでCinderとQuantum(現Neutron)が加わってコアがほぼ揃い、2013年のHavanaではCeilometerやHeatのようなコア以外で重要なコンポーネントも加わるようになった、と氏は説明した。

 そして、2014年で想定されているものとして、インキュベーションプロセスを卒業して加わる予定のコンポーネントをいくつか紹介。中でも「個人的に最もエキサイティングだと思っている」としてデプロイメントの「TripleO」について解説した。

 TripleOというプロジェクトの名前は「OpenStack on OpenStack」からとられた(“3つのO”)。OpenStack(Undercloud)からベアメタル(実機)サーバーを作る機能(NovaやHeatなど)を使ってOpenStack環境(Overcloud)をデプロイするものだという。講演では、USBメモリからUndercloudをセットアップしてマルチラックのOvercloudをデプロイする様子が図で説明された(USBメモリが比喩なのか想定ケースなのかは筆者にはわからなかった)。

 TripleOはHPのチームが始めたプロジェクトだという。なおRed Hatは、やはり5日付けでOpenStackのデプロイツール「OpenStack-M」を発表するとともに、OpenStack-MがTriple-Oに合流したと発表している。

 最後にMcLoughlin氏は、2014年より未来のOpenStackについて、「オープンソースのクラウドプラットフォームが広範囲に拡大して傘のようになり、その下で皆が協力するようになるだろう」とビジョンを語った。

Red Hat社のMark McLoughlin氏
2010年のOpenStackはNovaとSwiftの2つのコンポーネント
2013年のOpenStackには多数のコンポーネント
2014年のOpenStackで予定されているコンポーネント
TripleOの説明の図。USBメモリを1台のサーバーに挿してUndercloudをセットアップ
UndercloudからマルチラックのOvercloudをデプロイ
McLoughlin氏の考える将来のOpenStackの姿

(高橋 正和)