仮想化道場

VDIの検証ラボでGPU仮想化を推進するデル

VDIによるワークステーション環境を試す

 今回、Windows 7のVDI環境上にOpenGLのベンチマークソフトSPECviewperf11をインストールし、テストしてみた。

K260QK240Qパススルー
catia-0336.9936.6339.28
ensight-0457.3557.4159.03
lightwave-0132.0732.837.51
maya-0345.921.4753.68
proe-058.478.68.42
sw-0227.8526.7133.39
tcvis-0238.2338.5738.16
snx-0138.0946.1440.28

 K260QとK240Qでは、1~5%ほどの性能差が見られるだけで、K260QとK240Qではあまり差が出ていない(ただ、Mayaのベンチマークに関しては2倍ほどの性能差が出ていた)。またパススルーでは、K260Qなどよりも性能が向上しているが、倍ほどの性能アップにはならず、10%ほどの性能向上にとどまっていた。

 今回のベンチマークでは負荷をかけていないため、このような結果になったのかもしれないが、デルによれば、GRID K2を4台ほどのVDIで使っている場合は、それほど大きな差にはならないようだ。パススルーにおいても、GPUだけを利用する場合は大きな性能差にならないという。

 このような結果を見れば、GPU仮想化によるワークステーションのVDI化は現実的なソリューションといえるだろう。実際に使ってみた感想から言えば、ローカルで利用しているのとあまり変わらないイメージで、3DグラフィックのCADソフトなどが使えた。

Windows 7ノートPCでVDI環境にアクセス
SPECviewperf11のベンチマーク画面。これだけ複雑な3Dグラフィックもスムーズに動く
WyseシンクライアントでVDI環境にアクセス。ここまでくると、全くローカルのワークステーションと変わらない
iPadやWindowsタブレットでもVDI環境が利用できる。社外でのデモには便利だ

 なお、NVIDIA GRIDを搭載すれば、どのようなサーバーであっても高い性能を持つVDI環境が実現できるわけではない。エンジニアがローカルで利用しているワークステーションと同じレベルの性能をVDI環境で実現するためには、サーバー自体も高いプロセッサ性能や高速の大容量メモリが必要になる。さらに、ストレージに関しても、高速なストレージシステムが必要になる。このように、ワークステーションをVDI化していくには、サーバー、ストレージ、ネットワークなど、トータルで高い性能が必要になる。

 しかし、災害対策やデータを保護するための仕組みということを考えると、エンジニア一人一人にワークステーションを配置したとしても、データを集中して管理するために、なにがしかのサーバーシステムが必要になるため、その部分への投資は必要になるだろう。つまり、全てのコストが余計にかかるわけではない。

 また、VDI化するとクライアントはデスクトップPCでも、ノートPCでも、タブレットやシンクライアントでも構わなくなるし、ネットワークで接続すれば、ローカルデバイスにデータが残らない形で、打ち合わせやデモに活用できるようになる。

 企業では、こうした利便性や、システムトータルでのコストを考慮して、ワークステーションのVDI化を検討することになるのだろう。その際に、実際のアプリケーションの動作などを検証できるという意味では、デルGPUソリューションラボは有効な施設だ。

山本 雅史