仮想化道場

HPCからクラウド、ビッグデータへと市場を広げていくDataDirect Networks

 DataDirect Netowrks(以下、DDN)は、HPC(High Performance Computing)向けストレージを提供している企業としては有名どころだ。

 HPCというハイエンドニッチ市場から、徐々にエンタープライズ分野への進出を計画しており、HPCで必要とされていた高いI/O性能を武器に、ビッグデータやクラウド分野へ進出しようとしているという。

 今回は、DDNのCMO、Molly Rector(モーリー・レクター)氏と、日本国内における責任者、Robert Triendl(ロベルト・トリンドル)氏に話を聞いた。

DDNのCMO、モーリー・レクター氏(左)、日本国内における責任者となるロベルト・トリンドル氏

DDNの特徴をエンタープライズ市場に

 クラウド Watchの読者には、DDNといってもピンとこない人も多いだろう。1998年に設立されたDDNは、主にHPC向けの高性能ストレージを提供しているからだ。

 そのファーストカスタマとなったのはNASAだった。その後、HPC分野では代表的なストレージベンダーとしての立場を確立し、スタンフォード大学、オークリッジ国立研究所で利用されているほか、東工大で運用されているスパコン、TSUBAME 2/2.5のストレージとしても採用されている。

 「HPCのストレージに関しては、DDNはトップベンダーといえるでしょう。スパコンの性能ランキングでは、トップ100の半数以上がDDNのストレージを採用しています。最新のSFA12KXというシリーズでは、最大48GB/秒というバンド幅と170万という超高速のIOPSを実現しています」(レクター氏)。

DDNは、HPCだけでなく、クラウドやビッグデータ、デジタルセキュリティの分野で急成長しているという
顧客としては、各業界のトップ企業、団体が入っている
大きく3つの分野の製品を提供している
DDNのストレージは、通常のストレージシステムと比べると大幅に性能が向上しているという

多階層型のアーキテクチャを採用

 DDNのストレージでは、多階層型のストレージアーキテクチャを採用している。コントローラに搭載された、高速なDRAMを大容量のキャッシュとして用いるほか、リードとライトそれぞれに専用SSDをキャッシュとして利用する、SFXという機能が実装されている。SAS/SATA HDDには、ライトキャッシュのSSDからデータが書き込まれる。また、HDDから先読みされたデータ、あるいはアプリケーションから指示を受けたデータがSSDに置かれることで、データへのアクセススピードをアップしている。

 このような独自のハードウェアアーキテクチャと、データをどの階層に配置するのか、HDDからどのデータを先読みしてくるのかといったソフトウェアアーキテクチャが融合し、高速なストレージシステムを構成している。

 実際、各社の高速なストレージシステムと比べても、DDNのシステムはずばぬけて高速であり、スケーラブルにストレージ容量を拡張できるようになっているという。

DDNのシステムでは、大容量のDRAMキャッシュメモリに加え、リードとライトのそれぞれのキャッシュにSSDを採用。HDDにはSSDからバックエンドでデータが読み書きされる
DDNの製品は、他社の製品に比べると圧倒的なIOPを誇るという

(山本 雅史)