サーバー向け最新プロセッサーの“今”を理解する~Part05
最新プロセッサー搭載サーバー一覧
Xeon 5600/7500番台、Itanium 9300番台を搭載したサーバーが、各社から続々と登場している。プロセッサー本体や周辺技術の基本仕様を補完する独自技術をつぎ込み、実用度を高める工夫を凝らす。各社の最新サーバーの動向をチェックする。
■仮想化環境での性能を重視、メモリー容量の確保に各社独自の工夫盛り込む
仮想化環境におけるパフォーマンスは、サーバーのメモリー搭載容量に大きく依存する。Xeon 5600番台は1プロセッサーあたり144GB、7600番台に至っては256GBものメモリーを接続できるが、それでも多数の仮想化環境を立ち上げた場合、メモリーが不足し、プロセッサーがアイドルしている状態になっているからだ。
そこで、独自技術によりメモリーの搭載容量を増やす仕組みを取り入れるベンダーが相次いでいる。
日本IBMは、MAX5と呼ぶ専用のメモリー拡張ユニットを用意。独自開発のEXA5チップセットを搭載し、1台のMAX5につき32基のメモリースロット、512GBまでのメモリーを搭載できるようにする。
デルの「PowerEdge R810」、「同M910」は独自の「FlexMemory Bridge」機能が目新しい。4ソケット(マザーボード上に4つのプロセッサーを搭載可能)仕様のサーバーにおいてプロセッサーを2個しか搭載しない場合、残る 2つの空きソケットにつながるメモリースロットは基本的に使えない。
FlexMemory Bridgeでは空きソケットに専用回路をはめ込み、この回路がXeon 7500番台内蔵のメモリーコントローラと未使用のメモリースロットをつなぐ役目を果たす。これにより2プロセッサー構成でも、空きソケットの分まで含め最大で32基のメモリースロットを利用できる。
そのほか、シスコシステムズのXeon 5600番台搭載サーバー「UCS B250 M2」、「同C250 M2」は、4基のメモリースロットを1基に見せる独自技術により、48基のメモリースロットに最大384GBのメモリーを搭載できる。
■SMP接続機能によるスケールアップを可能に
2台のサーバー(ブレード)をSMP(対象型マルチプロセシング)接続し、スケールアップを可能にする製品も登場している。
Xeon 7500番台を採用した日立製作所のブレードサーバー「『BS2000』Eタイプ」がその1つだ。サーバーシステム「BladeSymphony BS2000」を構成する同製品は、2台を接続して最大4プロセッサー構成(32コア)、メモリー最大512GBのサーバーとして運用できる。当初は2プロセッサー構成で投資を抑えておきながら後に拡張できる。
日本IBMの「System x3690 X5」もSMP接続機能を備える。4プロセッサー構成の「System x3850 X5」なら8プロセッサー構成のサーバーを構築し、MAX5と組み合わせて最大3TBのメモリーを搭載できる(図5-1)。同社の管理ツール「IBM Systems Director」を使い、スケジュール設定でシステム構成を時間ごとに切り替えることも可能だ。
【図5-1】日本IBM「System x3850 X5」と「MAX5」を組み合わせた構成図 |