IaaS本格活用期へ~Part01
動き出した国内市場
■国内での利用環境が一気に整う成果も出始め、期待は最高潮に
CPUやメモリー、ストレージのリソースを必要なときに必要なだけ利用でき、システムインフラの運用負荷も軽くなる─。そうした特徴を持つIaaS が次々と登場し、国内でも本格活用する土壌が整いつつある。先行してIaaSを採用した企業が早くも成果を上げ始めていることもあり、IaaSに対する期待は今、急速に高まっている。
■最新動向~クラウドの注目度がピークに IaaSを巡る動きが特に加速
クラウドコンピューティングの中でも、プロセサやメモリーなどのITリソースを仮想化して利用するIaaS(インフラストラクチャ・アズ・ア・サービス)への注目度は今、最も高い(図1-1)。サービスも続々と登場している。
【図1-1】クラウドコンピューティングのハイプサイクル(2009年度版) |
2010年2月にはソフトバンクテレコムとGMOホスティング&セキュリティがそれぞれ、「ホワイトクラウド」と「True CLOUD」の提供を開始。5月には富士通やKVHが「オンデマンド仮想システムサービス(トライアル版)」や「KVH IaaS」と呼ぶサービスを始めた。図1-2に示すように米Amazon.comや米Rackspace USなど海外勢が先行するIaaSだが、国内事業者が充実してきたことで、国内企業にとっても身近な存在になりつつある。
【図1-2】2000年前半から欧米を中心にIaaSが続々と登場し始めた(サービス名称は2010年6月初旬現在のものを使用) |
実際、ユーザーも出始めている。前田建設工業は2010年4月、同社グループのスタッフ約1万5000人が利用するファイルサーバーシステムを CSK-ITマネジメントが提供するIaaS「USiZE」に移行した。同じく2010年4月、中央三井アセット信託銀行は同社の基幹業務の1つである確定拠出年金の管理業務システムに、日本ユニシスのIaaS「ICTホスティングサービス」を採用した。
これらはあくまでも公になっているIaaSの事例であって、ほかにもIaaSを既に採用し始めた国内ユーザーは多い。ホワイトクラウドを提供しているソフトバンクテレコムの立田 雅人氏は「サービス開始から間もないが、すでに数社が利用している」という。