サーバー向け最新プロセッサーの“今”を理解する~Part04
開発サイクルから知る近未来像


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 自社のサーバー群を技術進化の波に合わせて適宜更新していくには、「今」のみならず「近未来」にも目を向ける必要がある。Xeon/Itanium の開発戦略からは、今後の進化の方向性が垣間見える。

2つの技術革新を交互に繰り返す

 継続的な処理性能向上のほか、電力効率アップや機能拡張など、さまざまな課題を突きつけられるプロセッサーは、今後どのように進化を続けるのか。その答えをひも解く鍵が、インテルの特徴的な製品開発サイクルにある。

 同社は、「TickTock戦略」と呼ぶ開発計画に沿ってプロセッサーの強化を進める(図4-1)。XeonやItaniumも実際にこのアプローチに則っている。

【図4-1】TickTock戦略に基づくプロセッサー開発

 TickTock戦略では、(1)製造プロセスの微細化、(2)アーキテクチャの刷新─を交互に繰り返す。(1)は、回路内の配線幅を示す「製造プロセス」を狭めることで、より多くのトランジスタを実装したり、製造コストを抑えたりする。(2)は仮想化支援やプロセッサー内部の通信路の刷新、キャッシュやメモリー搭載容量の拡張などを主に目指す。(1)と(2)を約1年ごとに交互に繰り返し、それぞれは約2年周期で刷新する。

 「TickTock戦略のタイムフレームを念頭に技術力を集中投下することで、先進的なテクノロジーをいち早くプロセッサーに実装できる。メリハリある開発体制はプロセッサーを継続的に進化させていく上で有効にはたらく」(インテル マーケティング本部 エンタープライズ・プラットフォーム・マーケティング 統括部長 徳永貴士氏)。

 Xeon 7500番台は図4-1において「Nehalem」に位置する。製造プロセスを据え置き、 「Coreマイクロアーキテクチャ」から「Nehalemマイクロアーキテクチャ」へと変更した。新たにQPIやDDR3メモリーを採用したほか、定格の動作クロック数以上で稼働する「ターボ・ブースト・テクノロジー」などを追加した。

一方、Xeon 5600番台はXeon 7500番台の一歩先を行く。図4-1では「Westmere」に位置し、Xeon 5500番台から製造プロセスを32nmに微細化した。アーキテクチャは引き続き「Nehalemマイクロアーキテクチャ」を採用し、Xeon 5500番台と互換性を保持する。

 ItaniumもTickTock戦略に基づき技術革新を進める。ただし、「Itaniumは信頼性を重視することから、検証やテストに時間がかかる。1年おきに新製品を投入するのは難しい」(徳永氏)。そこで(1)と(2)を1年ごとに進めず、2年ごとに同時に刷新する独自の路線を行く。

TickTock戦略から見るXeon/Itaniumの未来

 今後のXeon/Itaniumの開発ロードマップを図4-2に示した。

【図4-2】XeonとItaniumの今後のロードマップ

 Xeon 7500番台は製造プロセスの微細化に着手する。2011年には製造プロセスが32nmとなる新プロセッサー「Westmere-EX(仮)」(開発コード名)を投入する予定だ。Xeon 5600番台は「Sandy Bridge」と呼ぶ新アーキテクチャを採用したプロセッサー「Sandy Bridge-EP(仮)」(開発コード名)に移行する。さらにその後、製造プロセスを22nmに微細化する予定だ。

 ItaniumについてはXeonより具体的なロードマップをインテルが公表している。製造プロセスが32nmとなる「Poulson」(開発コード名)を2010年以降に投入。さらに次期「Kittson」(開発コード名)も発表済みだ。「今後もItanium事業に積極的に開発費を投入していく」(代表取締役社長 吉田和正氏)と表明していることから、Itanium事業は当面継続していくこととなる。

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(記事提供: IT Leaders)
2010/6/29 06:00