インターネット/クラウドの最新潮流~PART01 HTML5
まさに秒進分歩のスピードで進化を遂げるネットの世界。続々と登場するテクノロジーは、企業情報システムにも否応なく影響を与える。今、ITリーダーが知っておくべき技術トレンドには、どのようなものがあるのか。システム戦略を練る上で欠かせないキーワードを取り上げ、その本質的意味に迫る。
■【HTML5】Webアプリの表現力をネイティブアプリ並みに
HTML5 は、ブラウザがアプリケーションのプラットフォーム(動作環境)へと進化する転換点となるHTMLの最新仕様である。Web技術標準化団体である「W3C(World Wide Web Consortium)」による正式勧告は数年先になる見込みだが、すでに多くのHTML5の機能がWebブラウザで利用可能だ。
実際、主要ブラウザベンダーはHTML5対応に力を入れている。AppleやGoogle、Mozilla、Opera Softwareはすでに、HTML5をサポート済み。最大手であるマイクロソフトも、次期バージョン「Internet Explorer 9」でHTML5をサポートする。
HTML5 というと、自由なグラフィック描画を可能にする「Canvasタグ」や、動画・音声の再生をWebページに埋め込む「Video/Audioタグ」に注目が集まりがちだ。だが、HTML5はそれ以外にも、Webアプリケーションにネイティブアプリケーション(クライアントPCにインストールして使用するアプリケーション)並みの表現力や操作性を与える機能を追加している。
ここでは、そのなかから企業ユーザーへのインパクトが特に大きいと思われる3つの機能を紹介したい。Webブラウザ上でローカルなデータベースを提供する「Web Storage」、ユーザーの入力作業を支援する「Form」、JavaScriptでローカルファイルにアクセスできる「File API」である。