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DellのEMC買収は成功するのか? 世界最大の非公開エンタープライズ向けベンダーの誕生

注目されるVMwareの動向

 買収のメリット、デメリットの分析にあたって、数あるEMCの製品分野の中で注目されているのが仮想化分野のリーダーであるVMwareだ。2007年にIPOを果たしており、時価総額は357億ドル。EMCはVMware株式の8割を保有しているが、親会社を食うような潜在性から、株主から企業分割を求められたこともある。

 Dellは、VMwareについては公開企業として継続すると約束。EMCの株主は、1株あたり24.05ドルの現金とVMwareの業績に連動する子会社連動株式0.111株を受け取れるとしている。現金の受取額は10月7日の評価額で1株あたり33.15ドルとなる。

 Wall Street Journalは買収の中でもVMwareにフォーカスし、買収によるシナジー効果として10億ドルを目標にするとのVMwareの目標を紹介した。この額の大きな要因として、Dellのハードウェア顧客という新しい市場がVMwareに開けるという関係者の見解を挙げるが、一方でHPやLenovo(IBM)などDellの競合顧客との関係には悪い影響が出るかもしれないとも予想する。

 Dell傘下に入ることには不安視する見方の方が強いようで、VMwareの投資家らが懸念を抱いていること、買収がもたらす先行き不安がシリコンバレーの人材獲得争いにおいて「不利に作用する」とするアナリストの声などを紹介する。また、「Dellが主張するようにDellはVMwareにとって追加的になるのか、それともやっかいな邪魔者になるのか……」と疑問を投げかける証券アナリストの意見も紹介した。

(岡田陽子=Infostand)