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ハードウェアにオープンソース革命 拡大するOpen Compute Project

Microsoft、HP、そしてAppleも

 今年のカンファレンスでは、Facebook中心の取り組みだけでなくパートナーの動きも多かった。中でも注目を集めたのがMicrosoftだ。同社は2014年にOCPに加入し、「Open Cloud Server(OCS)」としてAzure向けサーバー仕様などを公開してきた。

 そして今年は第2世代のOCSを発表。プロセッサは初代のIntel Ivy BridgeベースのXeonからHaswellベースに、10ギガビットイーサネット対応ポートから40ギガビット対応にアップグレード。NANDフラッシュストレージ受けのスロットを8つ備える。Microsoftは、これらで効率と性能を改善するという。

 電力関連では、12Uシャーシ向けの電力供給として「Local Energy Storage」を発表した。ノートPCなどで利用されるリチウムイオンバッテリーをサーバーに利用するというユニークな技術で、Microsoftによると、TCOを5分の1にまで抑えることが可能で、データセンターのフットプリントも最大25%削減できるという。

 Microsoftはまた、OCSでの新しい提携も発表した。LinuxディストリビューションUbuntuを開発するCanonicalと提携し、OCSハードウェア上でOSのプロビジョニングを実現することも発表した。これで仮想化レイヤーが不要になるとしている。Azure、Office 365、Bing、Xbox Liveなどの製品向けに新しいサーバー設計を利用しており、今後、CADモデル、ファームウェア向けソースコードなどの仕様を公開する計画だという。

 こうしたMicrosoftの姿勢には、驚きの声も出ている。Arstechnicaは「こうしたコラボレーションやオープン性は、かつてのMicrosoftが嫌っていたものだ」としながら、「業界全体の取り組みに積極的に参加し、自社のカスタムな設計を公開しようとする動きは数年前なら不可能だった。だが、これは自社イメージを変えようと必死になっている新しいMicrosoftを示すものだ」とする。

 OCPを率いるFacebookのハードウェア設計担当バイスプレジデント、Frank Fankovosky氏は次のようにBusiness Insiderに語っている。「最初MicrosoftのOCP参加を発表したとき、コミュニティ内から懐疑的な声が多く聞かれた。マーケティングじゃないのか、本当に貢献するつもりなのか、という意見もあった。だがMicrosoftチームは時間だけではなく、多くの知的所有権でも貢献している。これは素晴らしいことであり、感謝している」

 ハードウェアメーカーもOCPの動きに注目している。台湾のホワイトボックスメーカーに加えて、主要ハードウェアベンダーが積極的に参加している点も興味深い。Hewlett-Packard(HP)は今年2月、OCPに対応したベアメタルスイッチを発表しており、カンファレンス中に、やはりOCPベースのクラウド向けx86サーバーを発表している。同社が2014年に発表したFoxconnとのジョイントベンチャーにより実現するという。

 そして、今年はAppleがOCPに参加することも明らかになった。Business Insiderによると、以前から協業関係にあったが、正式に参加することになったとFrankovsky氏は述べたという。AppleはiTunes、Siri、iCloudなどでデータセンターを利用している。「Appleが、もしMicrosoftのようにOCPに参加してハードウェア設計やソフトウェアを貢献するとなれば、OCPは古い方法でサーバーを販売しているハイテク企業に大きな変化を与えることになるだろう」とBusiness Insiderは予想する。

 ほかに、ルーターからサーバーまでをそろえるCisco Systems、ネットワーク大手のJuniper Networksの参加も発表された。

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