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ハードウェアにオープンソース革命 拡大するOpen Compute Project

 「データセンターをオープンに」を合い言葉にFacebookが2011年に立ち上げたOpen Compute Project(OCP)が進展を見せている。推進団体は先ごろ開催した年次カンファレンスで、ネットワーキング分野の取り組みの成果を発表した。サーバーやストレージに加え、これまで“ブラックボックス”だったスイッチやルーターの分野にもオープン化を進めようとしている。

ネットワーク分野に拡大

 Open Compute Project Foundation(OCPF)は3月10日、カリフォルニア州で開催した年次カンファレンスで、各種の発表を行った。多くは、1年前に同団体が発足させたネットワーキング分野に関連するものだ。例えば、Facebookが2014年に貢献したモジュラー型ネットワークスイッチの仕様「Wedge」をOCP Foundationに寄贈することを提案した。

 FacebookはすでにWedgeでAccton、Broadcom、Comulus、Big Switchなどと提携しており、今回の寄贈によって、Wedgeベースの製品の購入や実装を容易にするとしている。Acctonは最初の製品を6月までに出荷開始するという。

 ほかにWedgeの関連では、スイッチが持つ処理専用ハードウェアASICを制御するデーモンとなるFBOSS Agentが、オープンなスイッチシステムFBOSS(Facebook Open Switching System)の初期リリースとして公開された。Broadcomが開発者向けに公開するSDKを含むキットOpenNSL(Open Network Switch Library)ライブラリ上に構築したもので、Wedge内のBroadcom ASICを制御できるという。

 また、ローレベルのボード管理ソフトウェア「OpenBMC」も公開された。次世代システムマネジメント向けソフトウェアフレームワークを提供するもので、BMCチップ向けの開発を迅速・柔軟にできるとしている。

 PC Worldは「スイッチとルーターは伝統的に“ブラックボックス”だった。同じベンダーがハードウェアとソフトウェアを提供するという既存モデルでは、他者が新しいアイデアとともに修正するということは考えられなかった。ネットワーキングの世界は、プロプライエタリなハードウェアとOSが支配していた15年前のUNIXサーバーと同じだ」と解説。OCPの取り組みによって、この状況が変わるかもしれないとしている。

 ほかにも、サーバー側ではSoCコンピューティングサーバー「Yosemite」を発表した。IntelとFacebookが共同開発したサーバーで、4枚の独立したサーバーをサポートし、並列処理で電力効率に優れるとしている。

 運用面でもOCPのメリットは大きいという。FacebookはOCPの効率化によって、この3年でインフラコストを20億ドル節約できたという。昨年だけでも、約8万世帯分に相当する電力消費を削減。CO2排出量の削減量は乗用車9万5000台分に達すると報告している。

(岡田陽子=Infostand)