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人間とマシンは近づき、クラウドは幻滅期 Gartnerの新版Hype Cycle

 Gartnerが恒例の「Hype Cycle for Emerging Technologies」2013年版を発表した。新しい技術への市場の期待と成熟から評価したもので、技術トレンドウォッチャーやCIOの注目を集めるレポートだ。今年は「モノのインターネット」(IoT)などのトレンドから、「人間とマシンの関係の進化」に大きなスポットを当てている。一方で、クラウドの位置づけが「幻滅期」とされたことに対して、英国のクラウド推進団体から反論も上がっている。

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 Hype Cycle for Emerging Technologiesは、新しい技術の登場から普及するまでの流れを描いた曲線だ。縦軸に期待度、横軸に成熟度で市場の状況を示したもので、次の5段階に区切っている。(1)技術が登場した「テクノロジーの黎明期」、(2)メディアなどの関心から成熟度は低いまま期待度が一気に頂点にのぼりつめる「過度な期待のピーク期」、(3)期待度が急降下する「幻滅期」、(4)成熟度が進むとともに期待度が緩やかに上昇を始める「啓蒙活動期」、(5)期待度は緩やかに増加しながら成熟度も進む「生産性の安定期」。

 Gartnerが最初にHype Cycleレポートを発表したのは20年近く前の1995年で、IT業界で新技術の普及を占う指標として参照されている。

 2013年版でGartnerは「人間とマシンの関係の進化」にスポットをあてた。「スマートマシン」「認知コンピューティング」、それに「モノのインターネット」などへの期待の高まりを受けたもので、これらの新技術を通じて「人間とマシンの間は近くなり、その関係は再定義されつつある」と述べている。背景には、マシンによる人間の理解、人間によるマシンの理解、と双方からの歩み寄りがあるという。

 2013年版では具体的に、「人間を拡張する技術」「人間をリプレースするマシン」「人間と共同作業するマシン」の3つのトレンドをピックアップしている。「人間を拡張する技術」とは、ウェアラブルコンピューティング端末を装着するなどで能力を拡張するような方向。「人間をリプレースするマシン」は認識コンピューティングを利用した仮想アシスタントによる自動顧客サポートなどが例となる。「人間と共同作業するマシン」の例としては倉庫で従業員とモバイルロボットが一緒に働くような形がある。

 こうした方向では、マシンやコンピュータが人間を置き換えるのではないかという危惧は根強い。だが、GartnerのフェローでヴァイスプレジデントのJackie Fenn氏は「そのような狭い認識を超えて(トレンドを)みるよう推奨する」と述べている。

(岡田陽子=Infostand)