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3200万ドルをクラウド調達 ハイブリッド端末「Ubuntu Edge」の挑戦

 Linuxディストリビューション「Ubuntu」の開発元であるCanonicalがスマートフォン「Ubuntu Edge」を開発する。iOSとAndroidの2強に挑む新しいスマートフォンプラットフォームの1つとなるが、スマートフォンとPCの2つの機能を持ち、潜在購入者から資金を集めるというユニークな手法をとる。調達目標は1カ月で3200万ドル。成功すればモバイル業界はもちろん、技術業界全体にインパクトを与えそうだ。

Android/Ubuntuデュアルブートのスーパーフォン

 Canonicalは7月22日、クラウドファウンディングIndiegogoのWebサイトでUbuntu Edgeプロジェクトを発表した。Ubuntuはこれまで2年近くモバイルに取り組んでおり、今年2月のMobile World CongressではAndroid端末で動くUbuntuスマートフォンやタブレットをデモしている。6月にはモバイルキャリアグループを立ち上げ、端末の実現に向けて一歩進んだ。Ubuntu Edgeはその流れの中で発表したものだ。

 発表された予定仕様によると、画面サイズは4.5インチ、1280×720 HDサファイアクリスタルディスプレイ、暗所でも撮影できる8メガピクセルカメラを背面に、2メガピクセルカメラを前面に備える。HDオーディオ、ステレオスピーカー、ノイズシャット、microSIM、3.5ミリジャックなどが特徴で、デュアルLTE、WiFi、NFCなどの無線通信規格をサポートする。

 最高速のマルチコアCPUが動き、RAMは最低でも4GB、ストレージは128GB。Samsungのフラッグシップ「Galaxy 4S」のRAMは2GB、ストレージが32GBであることを考えると、スマートフォンとして、かなりのハイスペックと言える。

 それもそのはず、Ubuntu EdgeはUbuntuモバイルOSに加えてAndroidも起動できるデュアルブート端末で、さらにモニターやキーボードを接続するとUbuntu PCとなって、デスクトップ環境を利用できるのだ。IndiegogoのキャンペーンページではUbuntu Edgeを「スマートフォンとデスクトップPCを1台の最先端のデバイスに集約した次世代のパーソナルコンピューティング」と紹介している。

 CanonicalはUbuntu Edgeの開発・製造のための資金を、クラウドファンディングのIndiegogoで集める計画だ。目標金額は3200万ドル。出資額は購入権のレベルによって異なり、20ドル(Ubuntu Edge Foundersに名前が記載される)、初日限定の600ドル(購入権1台、上限5000人)、830ドル(購入権1台)、1万ドル(購入権50台)、8万ドル(購入権100台)の5種類で開始した。

 ふたを開けてみると、初日限定の600ドル枠が即日完売するなど出足は好調。Canonicalは出資金額を625ドルから830ドルまでの間で細分化して、それぞれ限定数に達するまで(830ドルは無制限)販売するという形に変更した。安い方からだんだん売り切れてゆくという仕組みだ。29日現在、725ドル枠(1250台)までを完売している。

 Canonicalは7月24日、Ubuntu Edgeと、Ubuntu向けにアプリケーションを開発できる「Ubuntu SDK」のベータ版を公開した。

(岡田陽子=Infostand)