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「EU vs Google」戦いの火ぶた 欧州独禁法訴訟へ

 欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会(EC)は、Googleに対する競争法(独禁法)違反訴訟の手続きに入った。同社が自社サービスを検索結果の上位に表示して、独占的立場を乱用しているとの疑いだ。ECは併せて、Androidについての調査も開始したと発表している。かつてMicrosoftを苦しめた欧州の独禁法が、ついにGoogleを相手に動き出した。

ショッピングに焦点

 ECは4月15日で、検索分野での独占的立場の乱用が見られるとする異議告知書(Statement of Objection)をGoogleに送付したと発表した。

 それによると、Googleがメイン事業の検索において、自社の比較サービス「Google Shopping」(旧Google Product Search)が優先的に表示されるようにしているという。Googleは計画的にGoogle Shoppingサービスを有利に取り扱っており、他の比較サービスには適用している違反罰則を適用していない、とも指摘。結果として、Google Shoppingは順調に成長している一方で、消費者とイノベーションに悪い影響が出ているとしている。

 発表は「ユーザーのクエリに対して最も関連性のある比較ショッピング情報が結果に表示されるとは限らない。競合は、自社製品がどんなに優れていてもGoogle製品のように目立つことができないとわかっているので、革新が奨励されない」とした上で、自社サービスと他社サービスを同等に扱うべきだと述べている。

 異議告知書は競争法訴訟の最初のステップだ。Googleは今後10週間以内に回答しなければならない。違反が認められた場合、売り上げの最大10%の罰金が科される。Googleの2014年の売上高に基づくと、62億ユーロ(64億ドル)になる可能性もある。

 これに対してGoogleは、独、仏、英それぞれの国でのショッピングサイトの訪問者数の推移を示すグラフを掲載し、Bing、Yahoo、Quoraなど多数の検索エンジン、SiriやCortanaなど検索アシスタントなどさまざまな方法があり、Amazon、eBayなど用途に特化した専門サービスがたくさんあると主張。「われわれは異議告知を尊重するが、強く反対する。今後数週間でわれわれの主張を示したい」と断固として戦う姿勢を示した。

 EU競争担当委員のMargrethe Vestager氏は「和解を含め、あらゆる道が開かれている」と述べたとWall Street Journalが伝えている。

(岡田陽子=Infostand)