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「EU vs Google」戦いの火ぶた 欧州独禁法訴訟へ

米国のライバルの影

 しかし、こうしたEUの姿勢について、eWeekは「(検索結果への攻撃は)古い攻撃で、欧州以外ではすでに却下されている」と指摘。欧州が米国のハイテク企業を目の敵にしている例だとする。背景として、「プライバシーや独占への懸念」「政治家たちの後ろ向きな姿勢」、そして「欧州の失敗からくるいら立ち」を挙げ、「シリコンバレーに対する撲滅運動の中核は、一握りの企業が握る巨大なパワーと影響力に対する(EUの)不安となる嫌悪という実に曖昧なもの」と批判した。

 一方で、New York Timesは背後でのMicrosoftの動きを詳細に伝えている。中心となるのは、Eコマース業界団体のIcomp(Initiative for a competitive online marketplace)だ。今回ECへの苦情を申し立てた3社のうちFoundemとCiao!がIcompに加盟し、積極的にロビー活動を行っている。またIcompはECの異議告知書送付にあたってECを支援する声明文を出し、「競合を犠牲にして自社サービスをプロモーションすることにより、Googleは独占的地位を乱用し、消費者に損害を与えた。Googleの競合は同じレベルで競うことが不可能になっている」と訴訟を歓迎した。

 Icomp会長のLord Alan Watson氏はPR会社のBurson-Marstllerの元幹部で、Microsoftは同社の顧客だ。Watson氏が退職する際に「Microsoftがメインのスポンサーになる業界団体を立ち上げる」としてIcomp会長職を持ちかけられたのだという。

 だがMicrosoftだけではない。New York Timesによると、Yelp、TripAdvisorなどの米国企業がGoogle対抗のためECへのロビー活動を展開しているという。Reutersは、Vestager氏が「EUに苦情を申し立てた企業の4分の1が米国企業だ」と述べたと伝えている。

(岡田陽子=Infostand)