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DockerがVMwareを置き換える? 普及に向けてエコシステムが加速

 オープンソースのコンテナ管理ソフトウェア技術「Docker」をめぐる動きが活発化している。Dockerの利用を簡単にする新しいツールが2種が8月に入って登場し、Docker開発元の米Dockerにはなんと4億ドルという評価額が付けられた。進撃を続けるDockerが、仮想化分野で押しも押されもせぬ存在であるVMwareを置き換えるものになるのでは、という意見まで出てきた。

Dockerの利用を広げるツールが登場

 Docker関連ツールは、Dockerを利用するユーザー企業2社からオープンソースで公開された。1つ目は、Centurylink Labsが公開した「Panamax」で、クラウドでのDocker利用を容易にする“人間のためのDocker管理”ツールという。

 Dockerはソフトウェアが動作するために必要な機能を備えたコンテナにアプリケーションをパッキングするが、Panamaxはユーザーインターフェイス、APIなどのコンポーネントを持ち、コンテナ化されたアプリの実装を容易にするという。事前設定済みのアプリケーションセット(テンプレート)を持ち、複数台のサーバー上でDockerコンテナを動かす作業を簡素化する。

 Centurylinkはデータセンターを運営するホスティング事業者で、Panamaxを利用することで、データセンター事業者はコンテナを利用した顧客へのサービス提供を効率化できるとしている。元々は2013年6月に買収したAppFogが開発していた技術だ。

 2つ目のツールは「Flocker」だ。コンテナデータ管理技術のClusterHQが開発したツールで、データボリュームとコンテナを管理できる。ファイルシステムZFSとネットワークポリシーを利用し、データベース、キーバリューストアといったデータ中心のアプリケーションをDockerコンテナ内で動かすことができるという。データボリュームのマイグレーション、任意のノード上の任意のコンテナにサービスをリクエストできるグローバルルーティングなどの機能を持ち、ノードのダウン時にも対応するという。

 一方、軽量Linuxディストリビューションから、いまやDockerとセットに位置づけられるようになった「CoreOS」を開発するCoreOSは、リポジトリ・ホスティングのQuay.ioを買収した。Quay.ioはプライベートなDockerレポジトリのホスティングを手がけるベンチャー企業で、Google出身のエンジニアが2013年10月に創業したばかり。オフィスはニューヨークにあり、サンフランシスコを拠点とするCoreOSは、Quay.ioのニューヨークオフィスをそのまま自社オフィスとして利用する。

(岡田陽子=Infostand)