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生誕25周年、World Wide Webが直面する危機

 いまやインターネットとWebがない生活など想像もできなくなったという人も多いのではないだろうか。だが、World Wide Web(WWW)が生まれて、まだ25年しかたってはいない。CERN(欧州原子核研究機構)の研究者だったBerners-Lee氏がWWW構想を発表して、3月12日で満25年を迎えた。この“WWWの父”は、ネットの自由が脅かされているとの懸念を持ち、ユーザーの権利を守る「マグナ・カルタ(権利憲章)」の必要性を訴えている。

オープンでフリーだから広まった

 WWW構想は、インターネットとハイパーテキストシステムを組み合わせて、世界中の学者や研究者が文書を共有するための仕組みとして作られた。発表の翌1990年、Berners-Lee氏はNeXTコンピュータ上で初のブラウザとエディタの作成を開始し、1991年にニュースグループで公開した。CERNは全世界が利用することを想定して、1993年にWWWをパブリックドメインとして公開した。

 それからWebが急速に広まっていったことは言うまでもない。OS、ハードウェアの進化と低価格化により、端末(パソコン)は誰にも手に入るようになった。他方、インフラ側も進化し、ダイアルアップ接続のISDNから、DSL、そして光ファイバーへと高速に、同時に安価になっていった。さらに2007年の「iPhone」登場が契機となって、モバイルインターネットの爆発的な普及が進んでいる。

 忘れてはならないのがサービス側。当初の基本的なホームページから、電子メール、チャットとアプリケーションなど多彩なサービスが生まれた。ユーザーが簡単に使える情報サイト、ブログ、Twitterなどの登場で、誰もが情報を発信できるようなった。現在のWebは、情報閲覧、情報発信、そしてコマース、動画などマルチメディア、さらにソーシャルの場と、さまざまな側面を持っている。

 Berners-Lee氏は先ごろ、ソーシャルニュースサイトのRedditの人気コーナー「Ask Me Anything」に登場した。有名人が、ユーザーのどんな質問にも答えるコーナーで、Obama大統領やBill Gates氏も登場したことがある。この中でBerners-Lee氏は、インターネットの成長は予想していた、としながらも、利用目的として「子猫(の写真を載せる場になる)」とは想像しなかったと述べた。インターネットはそれほど、ありとあらゆるものに利用されている。

 そしてBerners-Lee氏は、WWW25年を機に「オンライン版マグナ・カルタ」を提案した。

(岡田陽子=Infostand)