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「Moto X」登場 意外にフツーのスペックとGoogleの狙い

 MotorolaがGoogle傘下となって開発した最初のスマートフォン「Moto X」がベールを脱いだ。Motorola Mobilityを125億ドルで買収すると発表して2年、Google自身の考えを強く反映したMotorolaスマートフォンの登場である。広く多くのユーザーを取り込もうという方向性を打ち出したもので、評価はまずまずのようだ。また、ここからGoogleの壮大な意図を読み取るウォッチャーもいる。

Googleとともに開発した初のスマートフォン

 Moto Xは、やや大きめの4.7インチ・ディスプレイと10メガピクセルのカメラを搭載したAndroidスマートフォンだ。特徴は、「1台1台カスタマイズできるデザイン」「音声による操作」「Made in USA」「常時オン」「2度振るだけで起動するカメラ」。AT&T、Sprint、US Cellular、Verizon Wirelessなどのキャリアが取り扱い、まずAT&Tから、199ドル(2年契約価格)で売り出される。

 一番の売り物は、デザインをカスタマイズして自分だけの“マイ・スマートフォン”にできる点だ。バックパネルやボタンの色、バックパネルの表面の材質、壁紙、メモリーサイズなどなどのバリエーション。Webサイトから注文するときに指定し、組み合わせは2000種類以上になるという。

 Motorolaのプロダクト担当ヴァイスプレジデントRick Osterloh氏はPCMagのインタビューで、このカスタマイズを可能にするため、サプライチェーンと製造方法を大幅に変更し、新しいラインを立ち上げ、従業員も採用したと説明している。工場はテキサスにある。「Made in USA」を前面に打ち出したのは、もちろんiPhoneやSamsung、HTCの製品が中国製であることを意識してのことだ。

 メディアのレビューは、おおむね好意的だ。「Motorolaは、(ライバルとのスペック競争でなく)もっとソフトな面でユーザーを満足させることを選んだ。結局、Moto Xは成功する」(CNET)、「残念ながら、5つの特徴は市場を揺るがすほどのことはない。なかなかいいスマートフォンだ」(New York Times)、「GoogleとMotorolaは、素晴らしいスマートフォンユーザー体験のために、先端スペックは不要であることを示した」(TechHive)などと述べている。高評価だが、ハイエンドではなく、流れを変えるほどの革新的な製品ではないというのが共通したところだ。

(行宮翔太=Infostand)