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Google Cloudが顧客のサービスを一方的に停止? 医療ベンチャーの訴え

 Googleのクラウド上にデータ分析サービスを構築するベンチャー企業が、サービスを一方的に停止された、と8月下旬、ネット上で訴えた。稼働中のサービスに問題があるとして、Googleが対応したものだ。クラウドにクリティカルなサービスを移行させることは一般的になってきているが、もし、サービスが停止すれば、ユーザーは大きな損失を被りうる。いったい何が起こったのだろう。

必要なアクションが遂行できない

 8月22日、ヘルスケア向けにデータ分析サービスを提供するCareSet SystemsのCTO、Fred Trotter氏は自身のブログに「Google Intrusion Detection Problems(Googleの侵入検出問題)」と題した記事を公開。「今日、GoogleはわれわれのGoogle Cloudのアカウントを一時停止した」と報告した。

 CareSetは、新薬開発に役立つ医療保険データの分析サービスを製薬会社向けに提供。Trotter氏が同時にCEOを務めるDocGraphの技術を利用して、ヘルスケアデータセットの構築とメンテナンスを行っている。システムは、Googleが提供するアーカイブやバックアップ用クラウドストレージ「Google Nearline」を利用している。

 Trotter氏によると経過は次のようなものだ。8月18日、Trotter氏らはGoogle Cloud Projectからのメールを受け取った。Trotter氏がGoogle Cloud Project/APIで動かすクラウドプロジェクトが外部に対して侵入を試みており、利用規約を破っているとのことだった。Trotter氏が引用したメールは「この問題を3日内に修正しなければ、プロジェクトを一時停止する」と述べている。

 Trotter氏はブログで、この動きを「誤検知」と主張。いくつかの問題があったと指摘している。まず、Googleからのメールはプロジェクト名ではなく社内管理用のIDで送られてきたという。Trotter氏らチームは、何のことだか分からず、理解するまでにかなりの時間を要したとしている。

 次に、Google側の言う「(求められた)必要なアクション」が完了できないことだ。Googleのメールでは「Google Cloud Consoleにあるアピールページから回答できる」とあるのに、どんなアクションかの詳細はなく、FAQページを参照するよう求められたという。Trotter氏は、FAQページの指示に従い、管理コンソールにあるはずの「Request an appeal」ボタンを探したが、見つけられなかったという。「インターフェイス上を探し回ったが、“Request an appeal”ボタンなどなかった」(Trotter氏)といい、必要な対応ができなかった抗議としている。

 そこでTrotter氏らはGoogleのサポートチームにサポートリクエストを送った。しかし、指示はなく、Google側は予告通り、3日後の8月22日にTrotter氏らのアカウントを一時停止。プロジェクトではなく、アカウントそのものを停止したという。

 「問題があるサーバーならともかく、Google Cloudサービスはプロジェクト全体を閉鎖してしまった」とTrotter氏はブログに記す。「われわれは複数のGoogle Cloud APIを使っているが、同じプロジェクト上で全てを利用した方がよいと判断した。重大な設計上のミスだと思う人に言っておくが、Googleは完全にシステムを自動化しており、プロジェクト全体をシャットダウンできてしまう。手動では無効にできないのだ」と続けている。