Windows Server 2012研究所

Windows 8.1の企業向けの機能を見る (企業はRapid Releaseに追随すべきか?)

企業はRapid Releaseに追随すべきか?

 ここまで紹介してきたように、Windows 8.1/RTは、Windows Server 2012 R2と連動して利用する機能がいくつか存在する。やはり、Windows 8.1/RTの機能を100%生かすには、Windows Server 2012 R2を用意する必要があるだろう。

 もう1つ企業にとって気になるのは、今後Windows OSがどのようにリリースされていくかということだ。

 Microsoftは、Rapid Release(ラピッドリリース)というコンセプトで、4年ごとにOSのアップデートをする今までの方式をあらため、早い周期で新OSをリリースしようとしている。

 そのサイクルに関しては、Microsoftは特に表明していない。新しい機能ができた段階でリリースしていくとしている。しかし、ライバルとなるMac OS、iOS、Androidなどが、年1回のアップデートを表明していることを考えれば、Windows OSも同じように年1回のアップデートになるだろう。

 Windows OSはクライアントとサーバーのコードベースを同じにしているため、そうなると、Windows Serverも年1回のアップデートになる。企業においては、OSのアップデートは年1回になると覚悟すべきなのかもしれない。

 ただ当面、Windows 8/Windows Server 2012がベースOSとなっているため、Windows 8.1/Windows Server 2012 R2を利用していれば、それほど新しいOSへのアップデートは難しくないだろう。

 カーネルのベースを含めてOSが大きく変わるタイミングには、しっかりとした導入テストが必要になるが、Windows 8.1のようなマイナーアップデートなら、大規模なテストは必要ないのかもしれない。

 ただいずれにしても、アップデートに追随して新しい機能を使うのか、それとも従来の導入ライフサイクルを維持していくのかといったあたりは、すぐに結論が出る問題ではない。今後数年かけて、Microsoft自体が企業のIT部門にどのようなメッセージを出していくのか、企業のIT部門がどのような戦略をとるのかを注意して見ていきたい。

2013年6月に米国サンフランシスコで開催されたMicrosoftの開発者カンファレンス「Build」において、スティーブ・バルマーCEOが、Windows OSのリリースサイクルをアップするRapid Releaseという方針を表明している

山本 雅史