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想定通りに、そして確実に機能するインフラを提供する――、Nutanixが事業戦略を説明
(2015/9/10 06:00)
ハイパーコンバージドインフラのベンダーであるニュータニックス・ジャパン合同会社(Nutanix)は9日、事業戦略に関する記者説明会を開催した。9月10日にカンファレンス「.NEXT on Tour in Tokyo」を開催するのに合わせ、6月に米国で開催された「.Next Conference 2015」で発表された製品やビジョンが、XCP(Xtreme Computing Platform)を中心に紹介された。
同社マネージングディレクターの安藤秀樹氏は、日本市場への戦略を語った。まず、Nutanixの販売で重要となるパートナーを拡大するという。また、高価というイメージに対し、小規模向けのNX-1000シリーズが6月に登場し、新規顧客を開拓するとも語られた。
そのほか、同社製品の得意分野としては、VDI(仮想デスクトップインフラストラクチャ)があり、かつてはビジネスのうち過半数がVDIだったという。現在では、SAPやOracle環境、ビッグデータなどの新しい分野が増えたと、安藤氏は語った。
「すべてのインフラをインビジブルに」
Nutanixの根底にあるメッセージは「すべてのインフラをインビジブルに」であると、米Nutanix エンジニアリング部門担当シニアバイスプレジデントのRajiv Mirani氏は話す。
ここでいう“インビジブル”とは、ユーザーが意識しないで使えるという意味だ。それには、「想定どおりに機能」することと、「確実に機能」することが求められる。「電力のように、簡単で、どこにでもあり、信頼性が高い。存在を意識するのは停電のときぐらいだ」(Mirani氏)。
さらに、もう一つの要素として「制約なしに機能」することが挙げられた。「そのためにわれわれも、特定のハイパーバイザーでなく、いろいろなハイパーバイザーに対応する」とMirani氏。「例えば、Webアプリケーションでは3年後にどのぐらいの規模になっているか。VDIでは2年後に会社の人数がどれぐらいになっているか。インフラは成長していくので、さまざまな想定の必要がある」。
同氏は「Nutanixはまずストレージをインビジブルにした。最近では、仮想化をインビジブルにした」と語り、「今後は、クラウドをインビジブルなものにしていく。それが、新しく発表した“XCP”だ」と説明した。
マルチハイパーバイザーやクラウドを統合管理
XCPは「Acropolis」と「Prism」の2つの構成要素からなる、と米Nutanix ソリューションマーケティング担当ディレクターのSachin Chheda氏は話す。
Chheda氏は、Acropolisは、仮想化ハイパーバイザーや、分散ストレージファブリック、アプリケーションモビリティファブリックを含む「データプレーン」であり、Prismはそれに対する操作と管理のプレーンだと説明した。
まずAcropolisについてChheda氏は、各種ハイパーバイザーと並んでAWSとAzureというパブリッククラウドが現れることを示し、「外部のクラウドもオンプレミスのハイパーバイザーも、全体をインビジブルに使える」ものだと語った。
また、分散ストレージファブリックは、ハードディスクやフラッシュストレージをまとめてプールし、そこから仮想サーバーに見せるものだ。Chheda氏は.Next Conference 2015で発表されたストレージの新機能として、サイジングツールの「Nutanix Sizer」や、ストレージだけ追加できるようにしたノード「NX-6035C」、オールフラッシュのノード「NX-9000」を紹介した。
さらに、ストレージのアプリケーション最適化機能として、ネイティブでiSCSIベースのボリュームをサポートしたこと、指定した仮想マシンをフラッシュストレージに固定するピンニング機能などをChheda氏は紹介していた。
Acropolisではハイパーバイザーとして、VMware ESXiとMicrosoft Hyper-Vのほか、Linux KVMからフォークして同社が開発するAcropolis Hypervisor(AHV)の3種類に対応する。
Chheda氏は、Prism管理下の複数ホストでハイパーバイザーが混在する環境で、Hyper-Vの仮想マシンをいったん停止してAHVの仮想マシンに変換し、AHVのホストで起動しなおすデモ動画を見せた。また、仮想マシンをAHVからパブリッククラウドのAWSにマイグレートするところ(まだビジョン段階という)も、同様に動画デモで見せた。
続いてPrismをChheda氏は「完全に分散された操作と管理のプレーン」と解説した。一般的な管理タスクとしては、ストレージや仮想マシン、クラスタ、ネットワークなどを、複数のノードにまたがって管理する。
また、プロアクティブなアラート分析などの問題対応の機能を装備し、例えばストレージ容量があとどのぐらいもつかといったことなども管理画面に表示される。
Chheda氏は最後に、Nutanixの顧客企業に対するIDCの結果から「5年間のROIが510%」「3層アーキテクチャに比べて98%ダウンタイムが減った」といった調査結果を紹介。「世界のハイパーコンバージドシステムの52%のシェアを占めている」と自信を見せた。