日立Sol、多店舗専門小売向けのソーシャルCRMサービス「ReBee」

スマホやSNSの活用で効果的な販促活動を実現


 株式会社日立ソリューションズ(日立Sol)は10月10日、スマートフォンやタブレット端末、ソーシャルネットワークサービス(SNS)を利用し、効果的な販売促進活動を実現する多店舗専門小売向けソーシャルCRMサービス「ReBee(リビー)」を10月11日より販売開始すると発表した。

 新サービスは、顧客が店舗のお知らせやクーポンをスマートフォンで受け取るアプリケーション「ReBee Card」と、店員がタブレット端末で来店した顧客の購買履歴や情報を照会したり、在庫検索などを行ったりする「ReBee Tablet」、およびマーケティング担当者がターゲティングした顧客向けにクーポンを配信したり、購買履歴などの情報を管理する「ReBee S-CRM」の3つの機能から構成される。このサービスを活用することで、企業は特定の顧客層へのキャンペーン情報の提供、効果測定や購買情報の把握など、顧客管理が効果的に行えるようになり、顧客ニーズに最適化したサービス提供が可能となる。

執行役員 流通ソリューション事業部 事業部長の富永由加里氏多店舗専門小売向けソーシャルCRMサービス「ReBee」の概要

 執行役員 流通ソリューション事業部 事業部長の富永由加里氏は「ReBee」のリリースにあたって、「近年、小売業・サービス業は、消費者へのパワーシフトやマーケティング手法の変化、商品のコモディティ化の進展に加えて、人口減少、景気低迷の長期化、インターネットやSNSの発達、プレミアム消費の増大、eコマース利用の拡大といった消費動向の変化により、厳しい経営環境にある」と、流通業界の現状を指摘。「こうした状況を打破するためには、“個”客を認識した集客を行い、リピート向上と新規顧客開拓に取り組んでいく必要がある。そこで、今回、急速に利用者が拡大しているSNSやスマートフォン、タブレット端末を集客手段として活用し、CRMシステムと連動することで、“個”客を認識した集客促進を実現するソリューションを開発した」と、新サービスを展開する狙いを述べた。

「ReBee Card」の機能概要「ReBee Card」の画面イメージ

 「ReBee」を構成する3つの機能の特徴は、まず「ReBee Card」は、電子会員カードとなるスマートフォン向けのアプリケーションで、「電子会員カードをスマートフォンに実装することで、企業は、会員化による囲い込みを促進できるとともに、会員属性に合ったアテンションの高い情報を提供できる。一方、顧客にとっては、店舗のお知らせやクーポンの新着情報をスマートフォンの画面からひと目で見つけることができ、満足感の高いクーポンを取得できる。また、SNSとの連携により、顧客がクーポンの感想を投稿することもでき、口コミ効果の促進にも期待できる」(流通ソリューション事業部 ERPソリューション本部 第6部 課長の林和久氏)という。

「ReBee Tablet」の機能概要「ReBee Tablet」の画面イメージ

 「ReBee Tablet」は、タブレット端末を利用して、スマートフォンと連携した会員認証と会員情報の参照が行えるアプリケーション。顧客が来店した際に、「ReBee Card」に表示されたQRコードを読み込むことで、店員はタブレット端末から顧客の基本情報や購買履歴などを閲覧することができる。また、快適な接客を実現するため、在庫検索や支払額を計算するアプリケーションテンプレートを提供する。「これにより、接客中にも、顧客のクーポン取得状況などを把握でき、クロスセルやアップセルに活用できる。さらに、クーポン消化データなどの購買履歴を蓄積することで、顧客分析や次回キャンペーン施策に活用することも可能となる」(林氏)としている。

「ReBee S-CRM」の機能概要「ReBee S-CRM」の画面イメージ
流通ソリューション事業部 ERPソリューション本部 第6部 課長の林和久氏

 「ReBee S-CRM」は、クーポンなどのキャンペーン管理や顧客管理を行うためのプラットフォーム。林氏は、「企業のマーケティング担当者は、性別や年齢、居住、購買履歴などから特定の顧客を抽出し、電子クーポンを配信できる。配信したクーポンは、トラッキングすることができるため、クーポンの取得率や利用率などをモニターし、顧客ランクに応じたキャンペーンを展開することもできる」と、林氏は、クーポンの効果測定をもとに、よりセグメント化した顧客へのキャンペーンを行うことで、集客率とリピート率のさらなる向上を図ることができると説明した。

 価格は、「ReBee Card」と「ReBee S-CRM」が378万円から、保守料は年間47万25000円から。導入店舗数により変動する。「ReBee S-CRM」は、1台あたり1ライセンスで8万4000円、保守料は年間1万500円から。

 今後、複合型ショッピングモールやシネマコンプレックス、レストランチェーン、エステサロンなど、幅広い分野で「ReBee」を提案していく考えで、2013年上期をめどにSaaS型モデルの提供も計画している。「SaaS型モデルは、低コスト、短納期が要求される中小規模企業のニーズに対応する。また、蓄積されたクーポン消費情報などを汎用化し、傾向などを利用者間で共有できるサービスも提供していく」(林氏)という。

 同社では、SaaS型モデルの提供に加え、POS端末や電子マネー決済システムとの連携、自社のポイント管理ソリューション「PointInfinity」との連携も視野に入れ、2017年度までに「ReBee」で50億円の売上高を目指す。


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(唐沢 正和)
2012/10/11 06:00