「弥生オンライン」第一弾、「やよいの店舗経営 オンライン」を9月に開始
新企業ロゴを掲げる弥生株式会社 代表取締役社長 岡本浩一郎氏 |
弥生株式会社は7月24日、店舗経営者向けのクラウドサービス「やよいの店舗経営 オンライン」を9月3日にサービス開始すると発表した。初期費用は無料、月額1470円。1年間で3000ユーザーの利用を目指す。
「やよいの店舗経営 オンライン」は、弥生のクラウドサービス「弥生オンライン」シリーズの第一弾となる。店舗経営者向けに、経理の知識を必要とせず、日々の売上げや仕入れ、経費といった売上げ日報の情報を入力するだけで収支状況を把握することができる。
「弥生オンライン」シリーズのサービスの申し込みは、弥生のパートナー会計事務所であるPAP会員経由で行う。このため、「やよいの店舗経営 オンライン」の月額利用料1470円の他に、PAP会員の顧問料が別途必要となる。会計事務所を利用していない場合は、弥生のサポート窓口でPAP会員を紹介する。
■弥生はより幅広く中小企業をサポートする業務コンシェルジュへ
発表会で弥生株式会社 代表取締役社長 岡本浩一郎氏は、今年25周年を迎える弥生にとって、今回のサービス発表は「弥生にとって大きなマイルストーンになる」と説明。「会計ソフトの会社から『事業コンシェルジュ』へと生まれ変わる」と25周年を迎えての新事業方針を述べた。
弥生では数年前から起業支援に取り組んでいるが、会計ソフトを提供するだけでなく、事業を行う上での課題解決のサポートを幅広く行っていく方針だという。
具体的には、1)既存の会計ソフト「弥生1xシリーズ」や弥生オンライン、スマートフォンアプリの提供などの業務ソフトサービス、2)弥生の製品サポートや仕訳相談サービス、業務ナビゲーションサービスなどの業務ヘルプデスクサービス、3)福利厚生サービスやHDDデータ復旧保険の提供、業務書籍ライブラリーなどの業務支援サービスの3つを柱として、中小企業の業務全般をサポートしていく。
新事業方針を打ち出したことにともない、弥生は企業ロゴも変更。「あなたの事業コンシェルジュへ。」というキャッチフレーズを付けた新ロゴは、12月の新製品から採用する予定だ。
業務ソフトベンダーから事業コンシェルジュへ | 起業支援など、すでに数年前から取り組みは始まっている |
■業務ソフトのクラウド化への要望
今回発表した「やよいの店舗経営 オンライン」について岡本社長は、「業務ソフトのクラウド化への要望が高まっている」と顧客からも要望が上がっている状況を指摘。ただし、すでに業務ソフトを導入ずみの企業と、まだ導入していない企業の要望を見ると、一致している部分と相反する部分があると説明した。
どこからでも同じデータで業務を行いたい、社内・社外とのデータ共有を行いたいといったデータに対する要望については、導入済み企業も未導入の企業も一致している。逆に、使い勝手や機能の点では、導入済み企業では「これまでのパッケージ製品と同レベルの機能や慣れた使い勝手を変更せずにクラウドを利用したい」という要望が強いのに対して、まだ業務ソフトを導入していない企業では「高機能にはこだわらない」「とにかくシンプルに」という要望が上がっており、ニーズが相反するという。
このため、弥生オンラインはこれまで業務ソフトを利用していない新規ユーザーにターゲット。仕訳などの会計知識を必要とせず、売上げや経費を入力するだけで利用できる入力インターフェイスを採用した。導入企業にとっては、会計知識を学ぶ必要がなく、売上げや資金繰りなどのデータをリアルタイムでグラフなどの形で可視化でき、事業戦略に即役立てることができるなどのメリットが見込めるという。
具体的には、事業者が入力した日報データを、会計事務所の「弥生会計AE」に取り込むことが可能になる。事業者は、業種別に用意された伝票入力画面に単純な入力を行うだけで済み、入力された情報は自動で仕訳データに変換される。事業者側は、仕訳や勘定科目といった会計知識を必要とせず利用でき、ほぼリアルタイムで売り上げやキャッシュフローを把握できる。
また岡本社長はデータ保全について、「万一にもなくなってはならないと考えている」として、万全を期しているした。データ保全については他社のサービスで大きなトラブルが報じられたばかりだが、弥生オンラインでは、メインのデータベースではデータベースを三重化。メインデータセンターでのバックアップだけでなく、サブのデータセンターにもバックアップを置くことで万全を期しているとした。なお、データベースを三重化しているのは、Azureの標準仕様だという。
弥生オンラインの位置づけ | 業務ソフト導入済みの企業と導入していない企業では、クラウドサービスへの要望が異なる |
従来型の会計事務所丸投げの問題点 | 「やよいの店舗経営 オンライン」導入のメリット |
弥生オンラインのアーキテクチャ | 弥生オンラインにおけるデータ保全の仕組み |
■クラウドへのさらなる取り組み
岡本社長は今後、1)弥生オンラインの発展、2)弥生1xシリーズのクラウドDB対応を2本柱として、既存市場および潜在市場に対してクラウドへの取り組みを強化するとの方針を述べた。弥生1xシリーズのクラウドDB対応については、2年以内の提供を目途に考えているとした。
クラウドDB対応については、デスクトップ製品のDBとして、SQL Azureを選択できるようにする形で実装していく予定だという。