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Amazon Web Services、Java/PHPアプリを展開できる「Elastic Beanstalk」を東京リージョンで開始

AWS Elastic Beanstalkの概要
AWS Elastic Beanstalkの構成イメージ。さまざまな部分が自動化されているメリットがある

 米Amazon Web Services(以下、AWS)は24日、Java/PHPアプリケーションを容易にデプロイできるPaaS「AWS Elastic Beanstalk」を東京リージョン(データセンター群)で同日より提供開始すると発表した。米国東リージョンに続いて世界で2カ所目の提供となる。

 「Elastic Beanstalk」は、JavaやPHPのコードをアップロードするだけで、WebサービスをAWSのクラウド環境上で展開できるサービス。既存のコードをそのままクラウド環境で使えるほか、負荷に応じてサーバーを増減するオートスケールの仕組みを備えているため、複雑な設計をしなくとも容易にWebサービスを利用できるという。また運用監視についても自動化されており、CloudWatchとの連携による監視を行い、アプリケーションに異常がある場合はメール通知を行うといった機能を備えている。

 アマゾンデータサービスジャパンの技術統括部長、玉川憲氏は、「ユーザーはシステムをまったく意識せず、Javaのコードを上げるだけで利用可能。設定もWebブラウザから行えるので、インフラに深い知識のない開発者でも、すぐにできる。従来は日本からも米国東リージョンのサービスを利用できたものの、200ms程度の遅延があるため、日本向けのアプリケーション展開に利用したいお客さまからは待ち望まれていた」と、特徴と提供の意義を説明する。

 個々のコンポーネントを見ると、Amazon EC2の仮想サーバーやログ保存に使うAmazon S3のストレージ、オープンソースのApache HTTP Server、Tomcatなどのミドルウェアから構成されており、実績のあるコンポーネントしか利用されていない点も特徴。さらに、PaaS的なサービスでありながら、個々のコンポーネントが直接見えるようになっている“透明性”も特筆すべきものがあるという。

 「(インフラに加えてミドルウェア部分までを提供する)一般的なPaaSは便利に使えはするものの、逆にその中の個々の要素を触ろうとしても触ることはできない。しかしElastic Beanstalkは完全に透明化されているため、必要に応じてコンポーネントそれぞれを触ったり、コントロールしたりすることが可能。例えば、必要に応じて車のボンネットを開け、エンジンなどのパーツを見られるようなものだ」(玉川部長)。

 JavaはTomcat 6/7を、PHPはApache PHP 5.3をサポートし、ソースコード管理ツールGitに保存してあるプログラムから直接デプロイすることも可能。また、管理に用いるWebコンソールのAWS Management Console以外に、Eclipse向けのプラグインAWS Toolkit for Eclipseが用意されており、開発環境から環境を操作したり、直接デプロイしたり、といった利用もできるとのことだ。

中身の見える“透明なPaaS”であるため、例えばAmazon EC2の仮想サーバーを直接操作することも可能
アマゾンデータサービスジャパンの技術統括部長、玉川憲氏

 なおElastic Beanstalkの利用にあたっては、構築したいアプリケーションの規模や要求性能に応じて、Amazon EC2のインスタンスタイプ、データベース、ストレージなどを選んでWebアプリケーションの動作環境を構築することになり、それらの通常の利用料金は必要となるが、Elastic Beanstalkを使うことによる追加費用は発生しない。