日立システムズ、クラウドやオンプレミスを柔軟に連携できる分散処理基盤サービス


 株式会社日立システムズは27日、アプリケーションの効率的な開発・運用を支援するミドルウェアサービス「App Bridge」において、分散処理基盤サービス「App Bridge Executor」を発表した。4月よりサービス提供を開始する。

 従来、分散したIT環境下でのシステム連携はVPN接続などによって実現されてきたが、VPNではネットワーク構築などの初期投資が必要なほか、ネットワーク遅延の影響を受けるといった問題があった。特に、パブリッククラウドなどの海外データセンターを利用する場合には、距離の影響により遅延が増大し、分散処理の課題になっている。

 今回提供される「App Bridge Executor」は、パブリッククラウドとオンプレミス環境、複数のオンプレミス環境間など、分散したIT環境下での業務処理をインターネット経由で実現し、コストや運用負荷の軽減、処理能力の向上に寄与するサービス。ジョブキュー型のプログラム実行基盤として提供され、プログラムの実行に必要な入力ファイル、処理結果などの各種データを、「App Bridge Executor」が転送する。

 すべての通信、データ転送はインターネット(HTTPS)経由で実施されるため、VPN接続は必要なく、また実行されるプログラムが遅延の影響を受けない点がメリット。ユーザーは処理の実行場所を意識する必要がなく、容易に分散処理を実現できるという。

 パブリッククラウドに対応していることから、オンプレミスで投入したジョブをマイクロソフトのWindows Azureで実行したり、Windows Azureで投入したジョブをオンプレミスで実行したり、といったことも可能。パブリッククラウド、データセンター、オンプレミス環境など、多様なIT環境・拠点を活用したシステムを、低コストで構築・運用できる。

 「App Bridge Executor」自体は日立システムズのデータセンター上で運用され、各システムはここを通じて連携する仕組み。なお、「App Bridge Executor」の専用Web画面によるプログラムバージョン管理、実行管理を行えるほか、専用の開発テンプレートとデバッグツールによる短期間でのプログラム開発が実現するとのこと。

 価格は、月額使用料が1万500円から。分散処理が可能な環境は、Windows Server 2008/2003、Windows Azureで、後者に関しては6月の対応開始を予定する。

 日立システムズは、クラウドサービスの1つとして、日立グループのクラウドソリューション「Harmonious Cloud」のもとで「App Bridge Executor」を拡販し、2015年度末までに100社への販売を目指すとしている。

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(石井 一志)
2012/2/28 06:00