日本ユニシスが中期経営計画を発表、2014年度に売上高2800億円必達を目指す
日本ユニシスの黒川茂社長 |
日本ユニシス株式会社は20日、2014年度を最終年度とする中期経営計画を発表した。
日本ユニシスの黒川茂社長は、「3年間でコアビジネスの拡大による収益基盤の安定化を目指す」とし、売上高は2800億円、営業利益率は5.0%、当期純利益は80億円、ROEは8.8%、ネットDEレシオで0.5倍以下を目指すとした。
さらに、「パートナーとの共創ビジネスやBPO事業展開、社会基盤ビジネスといった新規ビジネスを成長させ、早期に売上高3000億円、営業利益率6~7%を目指す。新規ビジネスの規模はまだ不確定要素が大きいが、2014年度には100億円規模のビジネスに育てたい」(黒川社長)とした。
また、クラウドビジネスに関しては、前年同月比で毎月2.5倍増で成長していることを示し、「売上高では年間100億円規模。今後、コア事業のひとつとして成長させたい」などとした。
2014年度までの売上高の年平均成長率は、システムサービスで15%増、アウトソーシングサービスで27%増、ネットワークサービスで11%増を見込んでいる。
中期経営計画の基本方針 | 2014年度に売上高2800億円、営業利益率5.0%を必達目標として掲げている |
一方で、2010年度実績で1216億円の総経費を、2014年度までに15%削減し、1030億円規模に押さえる。期間中の3年間では88億円の固定費削減を計画。そのうち人件費では74億円の削減を見込む。
事業構造の変革に伴い現在9300人の社員数を、8000人体制に縮小。「必達目標として取り組む」(黒川社長)と語った。自然減やグループ会社への異動などにより、3年間で8200人規模での縮小は可能とみており、残り200人規模において、「なんらかの工夫を考える」とした。
そのほか、人材育成プログラムの推進や、再教育や人材適正配置の実施、業績評価の徹底を含めた厳格な人事制度の改革などにも取り組む。
「働きやすい会社から、働きがいのある会社への転換を図る。そのためには働いた人を評価する仕組みが必要」などと制度改革に意欲をみせた。
固定費を圧縮し2014年度までに15%削減するという | 人事制度改革を行うほか、社員数を8000人体制へ削減する |
また黒川社長は次のように語る。
「国内のSI市場の成長率は鈍化しているが、一方で、社会基盤ビジネスなどのあら新たな領域でもビジネスチャンスが広がっている。戦略的なICT投資、顧客囲い込みなどのマーケティング分野への投資、製造・流通業界を中心としたグローバル化ニーズへの対応、金融制度改革や変化への対応、環境にやさしい社会基盤の再整備などの領域での事業拡大が期待できる。当社のサービス領域は、金融機関、官公庁、製造、流通、電力・サービスと業種は幅広いものの、国内の特定市場を対象としたスクラッチ型のビジネスを中心に展開してきた。既存のコアビジネスにおいては、今後は作り込みが必要なテンプレート型から、すぐに使える導入型への転換を目指していく。また、企業のビジネス戦略に合致したICTの最適化、顧客接点のビジネス領域のほか、当社が培った知見を生かしたパートナーとの共創ビジネス、BPOによる展開、社会基盤ビジネスで新たなビジネス機会を模索する」。
流通次世代基盤「CoreCenter」のような、導入型ビジネスへの転換を目指す | 社会基盤ビジネスへの進出を図る |
同社では、今回の中期経営計画を、黒川社長の基本メッセージである「技術力、現場力、スピード力の強化」をグループ一丸となって実践してく姿勢を示したものと位置づける。
黒川社長は「日本ユニシスは過去4年間、激しく落ち込み、財務体質も厳しいなかにある。収益低迷傾向を食い止め、持続的成長に向けた体質改善が急務である」とする。
過去の業績推移の要因 |
A格企業への復帰を目指す |
業績低迷の要因を「ICT投資が削減されるなか、激しく絞り込んだ選別受注により受注機会損失があったこと、顧客のビジネス変化への対応スピードが遅かったこと、新事業の実行体制が整わないなど投資戦略が甘く、回収が遅れたことがある。そして、厳しい言い方になるが、ぬるま湯的な体質と高い固定費体質の改革が遅れたことが要因」(黒川社長)とする。
中期ビジョンとして、「ICTの最適化を実現できるNo.1パートナーとなる」、「ICTを梃子にお客様に付加価値を提供できるパートナーとなる」、「ICTを活用し社会基盤の提供に貢献できるパートナーとなる」という3つのパートナー像を掲げ、「最適化としては、オンプレミス、クラウドを問わずに選択肢を増やし、パートナー企業の戦略にふさわしいICTを提案すること、事業成長に貢献できるビジネスパートナーであること、新しい領域においてもすぐに事業を開始できるパートナーを目指す」などとした。
さらに、「A格企業への復帰」を掲げ、営業利益率で1けた台後半、EBITDAで300億円、自己資本比率45%程度、ネットD/Eレシオで0.5倍程度を目指す姿勢も明らかにした。
一方、中期経営計画の実行期間中には、メインフレームビジネスの縮小をいかにカバーできるかが課題になる。
2011年度もメインフレームの大口案件の解約があったが、2013年度には電力会社の大口案件の解約により、売上高で16億円、収益で15億7000万円の影響が見込まれるほか、計画期間中に売上高で52億円減、利益で約40億円減の影響があると予測。さらに、中期経営計画後の2015年度にも2件の自治体案件の解約見込みにより、売上高で16億円減、収益では8億円減が見込まれる。
なお、今回の中期経営計画の発表を受けて、2012年1~2月にかけてグループ会社および事業部別の目標、計画を策定する予定も明らかにした。