チェック・ポイント、次世代ファイアウォール「Check Point R75」の国内販売を開始
拡販に向けて営業部門、サポート・サービスなど強化
代表取締役社長の藤岡健氏 |
チェック・ポイント・ソフトウェア・テクノロジーズ株式会社(チェック・ポイント)は5日、Software Bladeアーキテクチャをベースとしたネットワーク・セキュリティ・スイート「Check Point R75」について、国内での販売を開始したと発表した。参考価格は19万8000円から。
「Check Point R75」は、Application Control、Identity Awareness(ユーザーID認識)、Mobile Access、DLP(データ損失防止)、IPS(侵入防御)の各機能をSoftware Bladeとして搭載し、様々な保護機能を単一ソリューションに統合した次世代のファイアウォール製品。また、セキュリティをビジネスプロセスの一環として再定義し、「ポリシー」、「ユーザー」、「セキュリティ実施」といった3つの要素を結び付け、あらゆるセキュリティレイヤーの保護性能を強化する同社の新ビジョン「3D Security」を具現化した最初の製品となっている。
「Check Point R75」の特徴について、代表取締役社長の藤岡健氏は、「現在、組織を取り巻くセキュリティ環境は多様化しており、こうした環境に対応するためには、機能だけでなく多面的な視点が必要となる。今回のCheck Point R75では、当社の掲げるビジョン『3D Security』に基づき、組織におけるセキュリティ運用の効果を最大化するための重要な要素を多面的に考えたソリューションを提供する。とくに、人(ユーザー)を重要なセキュリティ要素の1つとして捉え、エンドユーザーの教育とセキュリティ意識の向上につながるネットワーク利用を実現する」と述べている。
国内での販売展開にあたっては、「『Check Point R75』のリリースを機に、現在利用されている従来型のファイアウォール製品から、多様化するセキュリティ要件に対応できる次世代ファイアウォールへの移行を促進する」との考えを示し、具体的な施策として、営業部門の強化、移行プログラムおよびプロモーションの推進、サポート・サービスの充実を図っていく計画を明らかにした。
営業部門の強化 | チェック・ポイントの業績推移と今後の計画 |
営業部門の強化としては、「従来まで、当社の営業部門は、ディストリビュータやパートナーに対する販売支援やテクニカルサポートをメインに行っていたが、7月1日から、大手顧客に向けたハイタッチ営業を開始した。具体的には、当社製品を多数導入している顧客を対象に、『Check Point R75』への移行や新ソリューションの導入を積極的に提案していく。あわせて、顧客の個別ニーズに応じてダイレクトサポートが行える体制を整えた。最終的には、ディストリビュータやパートナーとの協業体制により、顧客に新しい価値を提供していく」という。
移行プログラムおよびプロモーションの推進としては、顧客が所有している従来の資産を有効活用しながら、次世代ファイアウォールへの移行を支援する。具体的には、ソフトウェアアップグレード・キャンペーン、既存製品の下取り、他社製品からのリプレース、IPSなどのSoftware Bladeを1年間無料提供、「Check Point R75」の体験トレーニング、パートナーとの共同プロモーションなどを予定している。
そして、サポート・サービスの充実では、「Check Point R75」の新機能を安心して導入、運用できるよう、同社が直接、顧客へのサポート・サービスを行うメニューを提供するという。導入支援サービス、運用支援サービス、オンサイト・サポート・サービス、カスタマイズド・サポート・サービスなどを用意し、顧客は、従来までのサポートも含めて、要件に応じて最適なサポートを選択することが可能となる。
「昨年、当社はワールドワイドで初めて売上高10億ドルを突破した。国内についても、2006年から年率10%以上の成長を続け、順調に売上高を伸ばしてきているが、今回の『Check Point R75』を中核に、3年後の2013年には売上高を倍増させる」と、藤岡氏は国内でのさらなる市場拡大に意欲を見せた。
左から:ソフトバンクBB 諸留勇部長、アズジェントの森本昌夫取締役、チェック・ポイントの藤岡健社長、新日鉄ソリューションズの本田和則ソリューション営業部長、三井情報の加藤千晴マーケティングマネージャー |
また、今回の説明会には、国内販売パートナーから、株式会社アズジェント 取締役 ビジネス開発本部長の森本昌夫氏、新日鉄ソリューションズ株式会社 ITインフラソリューション事業本部 営業本部 ソリューション営業部長の本田和則氏、ソフトバンクBB株式会社 ソリューションマーケティング部 部長の諸留勇氏、三井情報株式会社 事業推進部 営業推進部 マーケティングマネージャーの加藤千晴氏も同席し、「Check Point R75」の国内販売への期待度の高さを示していた。
「Check Point R75」で提供される各Software Bladeの主な機能は、「Application Control」では、強固なセキュリティ技術、ユーザーの意識向上、および幅広いアプリケーション制御を組み合わせることで、社員が企業のセキュリティを損なわずにWeb 2.0ツールを活用できるようアプリケーション制御を行う。「リスクレベルやユーザーニーズに合わせてアプリケーションの利用ポリシーを柔軟にカスタマイズすることができ、より現実に即したアプリケーション制御が可能となった。また、Web 2.0のアプリケーションやウィジェットが10万件以上登録された世界最大規模のアプリケーション・ライブラリ『Check Point AppWiki』を提供し、従来までにはないアプリケーションの可視化を実現する」(システム・エンジニアリング本部 本部長の安藤正之氏)としている。
システム・エンジニアリング本部 本部長の安藤正之氏 | 「Check Point R75」のコンポーネント |
「Identity Awareness」では、ユーザーやグループ単位について、きめ細かなセキュリティポリシー管理が可能となる。正確なIDベースのポリシーを作成できるため、アプリケーションおよびアクセスの高度な制御を実現する。また、Active Directoryとシームレスに統合されており、迅速かつ容易に導入することができる。
「DLP(データ損失防止)」では、情報漏えいの検知と防止が可能で、ユーザー自身によるリアルタイムな問題への対処により、機密データを保護してデータ侵害を未然に防止する。ユーザー、コンテンツ、およびプロセスを総合的に分析し、高精度でポリシー違反を未然に防ぐデータ分類エンジン「MultiSpect」を備えている。
「Mobile Access」では、高度なSSL VPN機能と暗号化技術を統合することで、iPhoneやiPadとの安全な接続を提供する。「IPS(侵入防御)」では、マルチギガビットの速度で動作する包括的な次世代ファイアウォール侵入防御機能を提供する。
さらに、「Check Point R75」では、エンドユーザーのセキュリティ意識向上を促す「UserCheck」テクノロジーを備えているのも特徴で、「『UserCheck』によって、ポリシーに反する行動を行った場合には利用警告などを表示することで、エンドユーザーに危険性と使用ポリシーを教育しながら、企業ポリシーを遵守させることができる」(安藤氏)という。
【お詫びと訂正】
初出時、一部写真を誤って掲載しておりました。お詫びして訂正いたします。また「Check Point R75」の参考価格について「19万5000円から」としておりましたが、チェック・ポイント側が価格を訂正したため、「19万8000円から」にあらためました。