2011年は「サーバー仮想化」「モバイル」へ投資進む~ガートナー調べ


2010年度および2011年度の新規・追加投資の主要分野(複数選択可)

 ガートナージャパン株式会社(ガートナー)は2日、ユーザー企業の情報システム部門責任者への調査を基にした「国内企業のIT投資動向」を発表した。2009年・2010年とほぼ同額だったIT投資額は、2011年度に1%ほど緩やかに増加する見込み。新規・追加投資の主要分野としては、「サーバー仮想化」「モバイル環境の整備」「アプリケーションの投資再開」が挙がっている。調査期間は2010年10月18日~12月13日で、有効回答企業数は857社。

 サーバー仮想化は、新規・追加投資の主要分野の調査で11%(2008年)、17%(2009年)、19%(2010年)と、意識の高まりを伺わせた。特に従業員数2000人以上の大企業では29%(2008年)から43%(2010年)と拡大した。しかし、全サーバーにおける仮想環境の比率はまだまだ低く、今後も新規や追加のニーズが発生すると見ている。

 一方でサーバー仮想化の普及で課題となるのが、物理/仮想の混在環境における運用管理。その複雑性を解消するため、「運用管理ソフト」のニーズが大企業で再燃している。

 モバイル環境整備のニーズは、2008年と2009年と全体で5~6%しかなかったが、2010年には約2倍の10%を示した。特に従業員数2000人以上の大企業では、7%から18%にも拡大。モバイル端末の採用が進むにつれ、それに伴うセキュリティやアプリケーションのニーズ拡大、データ通信量の拡大など、さまざまな波紋を広げると見ている。

 アプリケーションの分野では、2008年のリーマン・ショック以降、停滞していた投資が次第に動き出していると分析。とりわけ再開傾向が強いのは従業員数2000人以上の大企業で、「パッケージ・アプリケーション」が19%(2009年)から28%(2010年)へ、「アプリケーション開発の外部委託」は14%から22%へとニーズが拡大。「IFRS対応」に関しても、9%から25%へと大きく拡大しており、財務・会計管理アプリケーションの改修や、ERPの導入・アップグレードを喚起する可能性があるという。

 このほか、「向こう3年間に重点投資すべきアプリケーション」について尋ねた調査では、「財務・会計管理」「購買・調達管理」「営業支援・SFA」「マーケティング支援」「BI」「SCM」において投資意欲が高まっている。

 「クラウドサービス」については、関心は高いが実需にはまだ遠く、費用対効果やセキュリティといった懸念事項を払しょくしない限り、大きな需要とはならないと見る。ガートナーでは、市場に大きく影響し始めるのは2014年以降とし、インフラやシステム運用市場を縮小させ、インテグレーションビジネスを一時的に拡大させると分析している。

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(川島 弘之)
2011/2/3 06:00