米SilkRoadが日本法人を設立、クラウド型人財管理統合サービス提供開始へ


 クラウド型の人財管理統合サービスを提供する米SilkRoad technology(SilkRoad)の日本法人として、11月1日より株式会社サンブリッジ ソリューションズは名称を変更し、株式会社シルクロードテクノロジーとして事業を開始した。

 株式会社サンブリッジは、IT業界におけるベンチャーキャピタル企業であり、セールスフォース・ドットコムの日本進出を支援してきたことでも広く知られているが、旧サンブリッジ ソリューションズは、サンブリッジの100%子会社であった。今回の名称変更に伴い、現在の出資比率はSilkRoadが7割、サンブリッジおよび日本法人創業スタッフが3割となっている。

シルクロードテクノロジーの代表取締役社長 石橋眞一郎氏
サンブリッジ 代表取締役会長兼CEO アレン・マイナー氏

 11月9日に都内で開催された記者説明会において、シルクロードテクノロジーの代表取締役社長であり、サンブリッジの取締役でもある石橋眞一郎氏は、日本における人財管理統合サービスの展開について、「私たちは多くのベンチャー企業の支援を通じて、企業において人財を活用するヒューマン・キャピタル・マネジメント(HCM)がいかに重要であるかを知っており、5年ほど前から優れたHCMを求めて、多くの企業を訪問し、調査を行ってきた。そこで出会えたのが、SilkRoad technologyだった」と語った。

 さらに石橋氏は、「これまで培った日本特有のノウハウとSilkRoadのサービスを組み合わせ、企業の規模を問わずに展開していく。日本におけるクラウド型の人財管理サービスとして、この数年でセールスフォース・ドットコムと肩を並べる」と自信を伺わせている。

 また、サンブリッジの代表取締役会長兼CEOであるアレン・マイナー氏も、「これまで人財管理というとERMの一部の機能として提供されていることが多く、わたしは人財管理そのものにフォーカスしているサービスを探していた。米国には多くの人財管理の仕組みがあり、多くの企業を訪問したが、SilkRoad以外には、終身雇用など日本独特の文化に対応できるようなものはなかった。米国のベンダーの多くは、自分たちのやり方を強引に押し付けるばかりで、日本の文化を理解しようとしないが、SilkRoadには、相手の文化を理解し、柔軟に対応しようという姿勢があった。また、個別の人事機能にフォーカスしたポイントソリューションではなく、統合的なHCMを提供していることも高く評価している」と語り、SilkRoadの技術や姿勢を高く評価していることを明言している。

SilkRoadの会長兼CEO、アンドリュー・フリップ氏
シルクロードテクノロジー 取締役副社長、小野りちこ氏

 そんな石橋、マイナー両氏に高く評価されているSilkRoadの会長兼CEO、アンドリュー・フリップ氏は、1980年代にプラチナムテクノロジーを起業し、世界第8位のソフトウェア企業へと成長させた実績を持っている。その後、約200社の企業の合併・統合に携わり、後継者育成やポテンシャル人財活用などの経験を生かして2005年にSilkRoadを設立した。

 フリップ氏は、「プラチナムテクノロジーなどの経験から、企業にとって重要なことは、従業員が”Work Happy”を感じることだと思っている。従業員がWork Happyであれば、お客様もHappyになれると信じており、人財管理は、Work Happyを実現するための仕組みだ」と話す。

 さらに、日本国内におけるHCMの需要について、シルクロードテクノロジーの取締役副社長である小野りちこ氏は、「今後、日本の企業がグローバル化を実現していくにあたって、グローバル人材の育成は最重要課題だと認知されている」と語っている。

 さらに小野氏はHCMのトレンドとして、ERPなどによる人事・労務中心でマネジメント機能が不十分な状態をHCM 1.0、特定の個別人事機能に特化したポイントソリューションの組み合わせをHCM 2.0として定義し、クラウド型で統合的なサービスを提供できるシルクロードテクノロジーの仕組みをHCM 3.0であると位置づけている。採用から退職するまでの人財ライフサイクルの全般をカバーする仕組みによって、人財開発で他社との差別化をはかることが重要であるという。

RedCarpetのダッシュボード例

 シルクロードテクノロジーでは、11月にRedCarpet(レッドカーペット)と呼ばれる、内定者教育、配置/移動管理、合併・買収統合管理に関する機能を日本語化し、提供を開始する予定である。RedCarpetは、内定者と密に連絡を取り合うことで、優良な人財が内定後に他社に流れるのを防止する機能も備えているという。

 2011年1月には、OpenHire(オープンハイヤー)というパート・契約社員採用管理、正社員採用管理、採用プロセス管理の機能の日本語化も予定されている。OpenHireには、フェースブックやツイッターなどソーシャルメディアと連携し、必要とされる人財の要件を満たす候補者を検索し、ヘッドハンティングにつなげる機能も備えている。

 最終的には、2012年中にパフォーマンス管理のWingSpan(ウイングスパン)、研修等スタッフ育成機能のGreenLight(グリーンライト)、人事統合サービスのHeartBeat(ハートビート)といったシルクロードテクノロジーの人財管理統合サービスである「the life suite」を構成する全ての機能が日本語化されて提供される予定である。また、日本語のみならず、現時点で日本語を含む9カ国語(英語、アラビア語、中国語(繁体)、フランス語、ドイツ語、韓国語、ポルトガル語、スペイン語)にすでに対応済であるという。

 なお、旧サンブリッジ ソリューションズでは、2008年より3Rings(スリーリングス)と呼ばれる人財管理アプリケーションを40社以上に導入し、人事コンサルティングも行ってきた。今回の日本法人スタートにあたり、3Ringsもシルクロードテクノロジーの製品のラインアップに統合され、将来的にはクラウド型のサービスとして提供されるという。

 RedCarpetの価格は、1500ユーザーで600万円から。

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(北原 静香)
2010/11/10 06:00