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サイボウズ、大企業向けkintone活用支援を強化 ガバナンスガイドラインを提供、大企業向けの機能アップデートも
2026年8月21日 06:15
サイボウズ株式会社は20日、大企業のkintone利用をサポートする施策に関して、説明会を開催した。
kintoneは現在、国内の大企業4万社が利用しており、情報システム部門だけでなく、 現場担当者自身が課題解決を行う市民開発の定番ツールとして利用企業を増やしているが、サイボウズ エンタープライズ事業本部 副本部長 kintoneプロダクトマーケティングマネージャーの池田陽介氏は、「利用が広がると『ガバナンスは大丈夫なのか?』という声が上がる。それをカバーするための適切なガバナンス、DX推進のための人材育成などのガイドラインを提供する」と述べ、大企業向けの利用環境をサポートしていくことをアピールした。
さらに、「kintone AI」のプロダクトアップデートなどにより、大企業のkintone利用を促進していくとしている。
大企業における市民開発の現状とガバナンスの必要性
サイボウズでは、従業員数1000人以上の企業をエンタープライズ(大企業)、従業員数100人から999人をミッド(中堅)、従業員数99人以下を小規模・SMBと分類しているが、契約中のエンタープライズは4万社で、東証プライム企業のうち46%が導入している。また、導入している企業の業種は「偏りがないことが特徴といえる」(池田副本部長)とのことで、あらゆる業種が導入しているという。
現在、サイボウズではエンタープライズ企業向け施策を強化しているが、その要因を次のように説明する。「AI活用により、市民開発は今後もさらに加速していくと考えられる。その中で、サイボウズ自身が実践してきた取り組みで蓄積したガバナンス確保のナレッジやノウハウなどが、大企業にとっても価値のあるものとなり、それを伝えていくことができると考えられる」(池田副本部長)。
2025年には「エンタープライズ事業本部」を設置し、業種・業界を研究し、顧客の経営層との合意のもと、全社でのプラットフォーム提案を実施している。
経営層に向けては、オウンドメディアで調査レポート、ホワイトペーパーなどを継続的に公開。CIOを対象としたラウンドテーブルの開催も行っている。製品の導入や活用といったノウハウではなく、「経営」や「組織運営」といった経営層に響くテーマの各種ガイドラインを無料公開し、業務効率よりも高いレイヤーでDXを推進するためのナレッジやノウハウを紹介。大企業の市民開発を後押しすることにつなげていく。
そうした中で、「市民開発が広がっていくと『ガバナンスは大丈夫なのか?』という声が必ず上がる。これはkintoneだけでなく、過去にはロータスNotes、Excelといったソフトでも起こった問題と重なる」(池田副本部長)。
例えば、現場でアプリケーションを開発できるようになることで、管理されていない「野良アプリケーション」が出ることになり、トラブルが起こる例もある。サイボウズでは、ガバナンスがある状態で市民開発されたアプリケーションを利用する環境を整えていこうとしている。
具体的には、市民開発のための「市民開発ガイドライン」、DX推進のための人材育成のための「DX人材育成ガイドライン」、適切なガバナンスを担保していくための「ガバナンスガイドライン」を提供し、組織内でのガイドライン作りをサポートする。
このほか、大企業内で市民開発を浸透させるために、企業内コミュニティを支援することや、企業内での事例を共有するための支援、企業文化の理解やノウハウ提供を目的とした企業インターンの実施といった例を紹介している。企業インターンはサイボウズ自身が実施したもので、社員を別企業へ交換留学することにより、お互いの企業の良さ、そしてあらためて自社の良さを再発見する機会となるという。
技術者向けには、安定的な運用ノウハウの公開を行っている。「もともと、少人数利用を想定し要件定義を行ったアプリケーションが、利用が始まると利用者が想定よりも多くなっていったことで、使いにくくなるといった例がある。そういった際に、要件定義を見直し、大規模APIリクエストでもエラーを起こさない実践例などを紹介している」(池田副本部長)
今後、AIの利用がさらに増えていくことをふまえ、社内データが集まる、貯まるためのデータプラットフォームとして、kintoneの価値向上を進めていく。
さらに、企業内でAI利用を定着させていくためには、「AIを誰が、どう使うべきか」のルールをきちんと整え、テクノロジーについても「安全に動くための土台が必要」と指摘。
「AIを誰が、どう使うのかについては、経営層や業務部門、推進チームが担い手となって、利用の目的、組織などを明確にする必要がある。テクノロジーについては、CIO、情報システム部門、開発チームが担い手となって、データとAIをつなげ、AIはどのデータに、誰の権限で接続できるのかといった点を明確にしておく必要がある」(池田副本部長)と、組織とテクノロジーを両輪で整えていく必要があると説明した。
こうした環境変化に合わせ、サイボウズが提供するプロダクトもアップデートする計画だ。まず、従業員数1000人以上の組織で、aPaaSとしての利用を想定し、アプリ数、AIクレジット数など大規模利用を前提とした「ワイドコース」を設けている。
機能アップデートを何回か実施し、2026年7月にはアプリ分析のための「アプリモニタリング」を機能強化。閲覧権限の幅が広い、CSV出力権限の付与範囲が広いなど、リスクとして検知したい条件を登録することで、ルールに違反しているアプリを自動検知し、管理者に通知する。
店舗などパソコン以外のタブレット等での利用を想定した、ノンデスクワーカー向けアプリ「kintone Touch」を提供するための開発を進めている。kintoneで作成したアプリの各フィールドに対し、現場からの入力に適したタブレット専用インターフェイスを設定できる。カメラからの読み取り入力、手描きによる写真編集やサイン、音声入力などから、データ入力方法を選ぶことができる。
kintone AIは、ワンクリックでAIに指示できる、専門知識がなくても利用できるAI。AIによるアプリ作成・運用で、データ活用を支援し、よりスピーディに業務改善を進められるほか、AIが勝手にデータを学習することはなく、システム管理者がAI機能の対象を制御する機能も備えている。また、データ活用にガバナンスを効かせながら、アプリの作成・運用を行う業務改善サイクルを作っていけるという。
今後については、「我々はkintoneを、業務アプリケーションを簡単に作ることができるデータプラットフォームに広げていきたいと考えている。特に、全社で使っていただくことで、よりバリューが出る存在になれると思っている。シュシュッと作れることに加え、AIと対話をしながら優れたアプリを素早く作っていける。さらに、そのアプリを安心して運用できる点が、kintoneを利用するメリットとなる。大量に作った便利なアプリを、きちんと管理し、そこに貯まったデータをAIが活用できる。データの基盤部分を強化し、その基盤の上で作ったアプリ、蓄積されたデータを活用して、エージェントが適切な範囲で人間の指示通り動いていく、ガバナンスの効いたエージェントとの共存の基盤を目指していきたい」(池田副本部長)としている。










