ニュース
「Go Beyond VDI」――シトリックスがVDIを超える次世代プラットフォームで新戦略
2025年6月11日 06:30
シトリックス・システムズ・ジャパン株式会社(シトリックス)は10日、事業戦略説明会を開催し、同社のプラットフォーム戦略の核となる新製品「Citrix Platform」を中心に、ビジネスの方向性を解説した。
Citrix Systems 副社長のデン・サリバン(Den Sullivan)氏は、「Citrix Systemsは35年以上にわたり、VDI技術を中核として事業を展開してきた。新たな領域でサービスを展開する際にもこのVDIが大きな強みとなっており、当社のプラットフォーム戦略がVDIという強固な基盤の上に構築されていることがわかる」と語った。
サリバン氏によると、同社のミッションは「世界ナンバーワンのセキュアアプリケーションアクセスプロバイダーになること」。その上で、同社の強みが「あらゆるユースケースに対応できること、ゼロトラストを実現する堅牢な保護ができること、どんな環境やデバイスでも快適に利用可能であること、企業で求められる安定稼働を実現していること、ユーザー体験を損なわない高速性を提供していることにある」とし、こうした強みが同社の技術革新の指針になっているとした。
現在Citrixでは、従来のユースケースを最大限活用できる「Citrix Universal Hybrid Multi-Cloud」と、新たな領域で価値の最大化を目指す「Citrix Platform License」という2つのパッケージを用意している。
「シンプルで付加価値の高いサブスクリプションモデルを通じて、柔軟性を実現している。あらゆる段階でセキュリティを担保し、変化の早い環境においてもイノベーションを加速できる。もちろん、可視性や管理性は十分維持できる」とサリバン氏はアピールした。
シトリックス・システムズ・ジャパン ジェネラルマネージャーの平井恵介氏は、働く環境が多様化し、IT環境が複雑化する中で、「その課題に対処すべく、Citrixは統合的なプラットフォームとなるCitrix Platformを提供開始した」と語る。このアプローチにより、「ユーザーはどのデバイスからでも快適かつ安全に業務リソースにアクセスできる。また、IT部門の管理効率が向上し、セキュリティリスクの最小化と運用コスト削減を同時に実現する」とした。
平井氏は、「買収によってもCitrix Platformは強化されている」と語る。2024年から2025年にかけては、uberAgentやStrong Network、deviceTRUST、Uniconといった数々の企業を買収し、その技術をプラットフォームに統合したことを紹介。追加費用なしで提供されるこれらの技術によって、「顧客のニーズに応えるプラットフォームとして進化し続けている」と話す。
さらに、Citrix Platformはパートナーシップによる進化も目指している。3月にはGoogleとのパートナーシップを強化し、同社の企業向けブラウザ「Chrome Enterprise Premium」をCitrix Platformに導入すると発表した。
シトリックス・システムズ・ジャパン テクノロジー・ソリューション部 リードアカウントテクノロジーストラテジストの武石隆治氏は、「Chrome Enterprise Premiumとの統合により、CitrixはVDI、ZTNA(ゼロトラストネットワークアクセス)、そしてブラウザセキュリティを一貫して提供できるようようになった。この統合により、あらゆる業務スタイルや端末で安全かつ効率的なアクセスが実現する」と語る。
また、同じく3月にはNVIDIAとの提携により、NVIDIAの仮想GPUを基盤とするAI仮想ワークステーションの提供を開始した。このAI仮想ワークステーションにより、「セキュリティとコスト効果に優れた構成を実現し、企業のAI戦略を加速させることが可能だ」と、シトリックス・システムズ・ジャパン テクノロジー・ソリューション部 統括本部長の竹内裕治氏は述べている。
平井氏は、CitrixがVDIを超えた真の業務プラットフォームを提供するとして、「Go Beyond VDI」というキーワードを示した。「業務に必要なすべてのアクセスを安全に、そしてスマートに支えるプラットフォームとして、Citrix Platformは進化を続ける」(平井氏)。