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IoTプロジェクトを共同検証する「IoTビジネス共創ラボ」、日本マイクロソフトなど10社で発足

 日本マイクロソフト株式会社と東京エレクトロンデバイス株式会社は9日、IoTプロジェクトの共同検証を行う「IoTビジネス共創ラボ」を同日付けで発足した。

 日本市場におけるIoTの普及と、ビジネス機会拡大を目的としており、参加企業を拡大することで、さまざまな案件を創出するとともに、IoT技術者の育成活動などを行う。

 東京エレクトロンデバイスが幹事社となり、日本マイクロソフトが事務局を務める。また、アクセンチュア、アバナード、テクノスデータサイエンス・マーケティング、電通国際情報サービス、ナレッジコミュニケーション、日本ユニシス、ブレインパッド、ユニアデックスの8社が発足メンバーとして参加する。今後1年間で、100社にまで拡大。さらに、IoT関連で100案件の新規創出を目指すという。

IoTビジネス共創ラボの参加企業
IoTビジネス共創ラボの活動目標

 また、IoT環境におけるクラウドサービスとデバイスの利用に向けて、Microsoft Azureをベースとしたソリューション開発の促進、共同検証結果を発表するセミナーの開催、同ラボ参加企業とエンドユーザー企業とのマッチングの場の提供なども行う。

 具体的な活動として、ビジネスインパクトを持ったIoTシナリオを検討する「ビジネスワーキンググループ」(リーダー・アクセンチュア)、モノから収集・蓄積した多様なデータを分析・活用する「分析ワーキンググループ」(同・ブレインパッド)のほか、製造ワーキンググループ(同・東京エレクトロン デバイス)、物流・社会インフラワーキンググループ(同・ブレインパッド)、ヘルスケアワーキンググループ(同・ユニアデックス)の3つの産業別利用シナリオを検証するワーキンググループを設置し、それぞれの分野におけるIoT普及活動に取り組む。

5つのワーキンググループを設置

 さらに東京エレクトロンデバイスでは、全世界に広がる3000社以上の同社販売ネットワークを活用して、同ラボに参加するクラウドパートナー企業と連携。デバイスメーカーに対しては、Microsoft Azureを基盤とするIoTサービスの利用を提案する。

 また日本マイクロソフトでは、短期間でのIoT導入を支援する「Azure IoT Suite」や、Azureとの接続に関して事前にデバイスを検証し、認証を行う「Azure Certified for IoTプログラム」を提供する。

 日本マイクロソフトの樋口泰行会長は、「イベントおよびセミナーを通じて、製造、流通などの業界を対象に、意思決定者5000人に情報を発信。IoTエキスパートとの交流を通じた新たなビジネス機会を創出する。さらに、先進プロジェクトへの投資と事例露出支援、営業部隊による案件支援を行う。また、IoT技術者を対象にした年間90回の無償技術トレーニングを行い、1年以内に1万人の技術者を育成する」と取り組みを説明した。

日本マイクロソフト 代表執行役会長の樋口泰行氏

 一方で、「Azure Certified for IoTプログラムは、米国では2015年9月からスタートしているが、日本でも本格的にこのプログラムを展開することになる。8社のデバイスおよびゲートウェイパートナーが認証取得に向けた取り組みを開始しており、すでに1社が認証を得ている」と、先行している米国での状況に言及。また、「Azure IoT Suiteは、主要なIoT活用分野におけるソリューションを構成済みであり、小さくスタートして本格導入が可能であること、マルチデバイス対応が可能である。Azure IoT Suiteを活用することで、迅速な共同検証の支援ができる」と強みを語った。

Azure IoT Suiteによる支援

 東京エレクトロンデバイス IoTカンパニーの八幡浩司カンパニープレジデントは、「IoT市場は年率12%増で成長すると予測されており、IoTがIT市場をけん引していくのは明らか。だが、外部アタックや情報漏えいなどのセキュリティ面での課題や、投資効果が見えにくいこと、クラウドや組み込みなどの各分野の知識やスキルが不足しているという課題もある」と指摘。

 その上で、こうしたIoT導入における課題を解決するために、「IoTエキスパートによるエコシステムの構築、プロジェクトの共同検証によるノウハウ共有、先進事例の共有によるIoT導入の促進の3つの活動を行うのがビジネス共創ラボの狙い。IoTは提案型のビジネスであり、アイデアの塊である。キャリアやMVNO、システムインテグレータ、リセラーなどの幅広い専門分野の企業が参加し、プロジェクトを共同検証することで、IoTの普及へとつなげたい」とした。

IoTがIT市場をけん引
IoT導入における課題

 また、「Microsoftはクラウドでは出遅れた感じもあったが、いまではMicrosoft以外、IoTインフラを支える企業はない状況になっている。組み込み分野におけるスピードがあるほか、B2Bフォーカスの実績、グローバルリーチの強み、エンドトゥエンドでカバーできる点が特徴である。そして、デバイスエリアとクラウドエリアをハイブリッドでカバーできる体制となっていることは、IoTの課題解決に不可欠なものである。当社は、Microsoftの組み込み分野において23年間の実績がある。IoTにおいては、日本マイクロソフトと組むことが最適だと考えた」と述べ、パートナーとして日本マイクロソフトを選んだ理由を説明した。

マイクロソフトプラットフォームの魅力

 一方、日本マイクロソフトの樋口会長は、「クラウドに出遅れたという指摘があったが、Microsoftは後出しじゃんけんで“追いつき追い越せ”と取り組み、より優れたものを提供するのが得意な企業である。いまでは、IoTに最適なインテリジェントなクラウドを提供できるクラウドプラットフォームになっている。現在、IoTでは、遠隔監視、予兆保全、資産管理という活用が中心であるが、今後、さまざまな分野へと取り組みを拡大していく」と語った。

IoTビジネス共創ラボの参加企業による記念撮影も行われた

大河原 克行