ニュース
「富士フイルムクラウド」を3月に設立、クラウドサービスの導入支援・運用保守を提供
富士フイルムビジネスイノベーションとサーバーワークスの合弁で
2024年2月2日 12:22
富士フイルムビジネスイノベーション株式会社と株式会社サーバーワークスは1日、合弁会社「富士フイルムクラウド株式会社」を設立することに合意したと発表した。同日には、合弁会社を設立する背景や狙い、事業概要について説明会が行われた。
新会社の富士フイルムクラウドは、中堅・中小企業に向けて、Microsoft AzureおよびAmazon Web Services(AWS)などのクラウドサービスの導入支援・運用保守を、ワンストップで提供していくという。設立予定日は3月1日で、4月から日本国内で営業を開始する予定。出資比率は富士フイルムビジネスイノベーションが66%、サーバーワークスが34%となる。
富士フイルムビジネスイノベーション 取締役 専務執行役員の阪本雅司氏は、「当社では、CHX(カスタマー・ハッピー・エクスペリエンス)を実現するソリューションとして、昨年6月にオンプレミスを含むインフラ・IT機器の運用管理サービス『IT Expert Service』を開始した。また、11月からは、業務プロセスに最適化したクラウド上の業務アプリ『FUJIFILM IWpro』を提供している。一方で、中堅・中小企業の顧客からは、人材不足や経験不足などによりクラウド環境への移行が進んでいないという声が多く寄せられていた。そこで今回、クラウド移行支援の取り組みをさらに強化するべく、クラウドビジネスで豊富な実績を持つサーバーワークスと協業し、合弁会社として富士フイルムクラウドを設立するに至った」と述べた。
また、サーバーワークス 代表取締役社長の大石良氏は、「当社は2009年からAWS専業のクラウドインテグレーターとしてソリューションを提供してきた。現在では、AWS公式の認定資格保持者が多数在籍しており、AWSパートナーの中でもトップの『AWSプレミアティアサービスパートナー』に9年継続して認定されている。これまでに1万7800以上のプロジェクトを手がけ、1180社を超える導入実績があるが、そのターゲットは大手企業が中心となっていた。今後は、中堅・中小企業にもAWS導入を広げていくことが重要であると考え、幅広い販売網とサービス網を有する富士フイルムビジネスイノベーションと協業することとなった」と、今回の協業が実現した経緯を説明した。
「当社では、昨年5月にAWSと戦略的協業契約を締結し、その重点施策の一つとして、『中小企業(SMB)におけるAWS活用とDX推進』に取り組んでいる。また、AWS SMBコンピテンシーを取得することで、SMBのビジネスおよび技術的な課題解決に実績があるAWSのサービスパートナーとして認定されている。今回新たに設立する富士フイルムクラウドを通じて、さらに多くの中堅・中小企業にクラウドサービスを提供できる体制を整えていく」との考えを示した。
富士フイルムクラウドの事業概要については、富士フイルムビジネスイノベーション ビジネスソリューション事業本部 事業企画管理部 プロジェクト推進室 室長の菅谷秀一氏が説明した。なお、菅谷氏は、富士フイルムクラウドの代表取締役社長に就任する予定となっている。
「富士フイルムビジネスイノベーションは、中堅・中小企業をカバーする全国販売網を持っており、インフラ・機器などオンプレミスを含めたIT管理アウトソーシングで多くの実績がある。また、Microsoft 365やMicrosoft Dynamics 365などMicrosoft製品の販売・導入支援も手がけている。一方、サーバーワークスは、クラウドビジネスへの豊富な知見と技術力を有しており、1100社を超える導入実績を持っている。さらに、AWSプレミアティアサービスパートナーとしてAWSに関する高い技術力や導入実績が認められている。新会社の富士フイルムクラウドでは、こうした両社の強みを組み合わせることで、Microsoft AzureとAWSを中心としたクラウドサービスの導入支援から運用保守までをワンストップで提供していく」という。
今後の展望について菅谷氏は、「両社のシナジーによる国内トップクラスの高品質なIaaSを、富士フイルムビジネスイノベーションの販売網を活用し、全国の中堅・中小企業に幅広く展開していく。また、クラウド移行が進んでいない企業に対しては、業務変革の実現に向けて、業務アプリやIT管理サービスとのクラウド連携を強力に支援していく。4月から国内で営業を開始し、2027年度には、20億円以上の売上達成を目指す」と意欲を見せていた。