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住友商事と東急電鉄、ローカル5GとAIを活用した線路巡視業務高度化の実証実験を複数の鉄道事業者と実施

 住友商事株式会社と東急電鉄株式会社は27日、10月から、ローカル5GとAIを活用した「線路巡視」に関する共同実証実験を実施すると発表した。

 住友商事と東急電鉄の2社では、2021年度からこの実証実験を進め、2022年度は横浜高速鉄道株式会社などとともに、汎用性の高いソリューションの構築を目指してAI解析精度などを向上させてきた。

 今回はさらなるデータの集積を行うため、2023年度は横浜高速鉄道に加えて、名古屋市交通局、九州旅客鉄道株式会社(以下、JR九州)、西日本鉄道株式会社(以下、西鉄)、伊豆急行株式会社(以下、伊豆急)と実証実験を行うとしている。

実証実験の体制図

 この実証実験では、電車の前方に設置した高精細カメラで撮影した映像を、ローカル5GでAI解析用サーバーに伝送し、線路設備などの異常を解析するシステムを構築する。これにより、従来は係員が毎日現地に出向き、1日数時間をかけて路線全体を目視で確認していた巡視業務を、AIが解析した異常該当箇所のみを現地確認することで、1日に数十分で行えるようにする仕組みの構築を図る。

 2023年度は、複数の鉄道事業者との共同実証実験により、「都市環境」のみならず、「地下環境」、「地方環境」におけるさまざまな路線環境データを集積し、AIによる異常解析の精度を向上させることで、将来的には、鉄道業界全体において使用可能な汎用性の高いソリューションの構築を目指す。

 具体的には、1日数往復する営業運転下でのさらなるAI解析の精度向上を図る(1回の走行で約90%以上の異常検知率、かつ1日複数回の走行で100%の異常検知率)とのことで、2024年度の東横線内での実装を目指している。

 なお、映像撮影区間は以下の通り。

・東急電鉄 東横線 渋谷駅~横浜駅(約24.2km)
・横浜高速鉄道 みなとみらい線 横浜駅~元町・中華街駅(約4.1km)
・名古屋市交通局 東山線 高畑駅~藤が丘駅(約20.6km)、鶴舞線 上小田井駅~赤池駅(約20.4km)
・JR九州 鹿児島本線 博多駅~福間駅(約21.6km)
・西鉄 天神大牟田線 柳川駅~大牟田駅(約16.4km)
・伊豆急 伊豆高原駅~伊豆稲取駅(約14.7km)

実証実験の概要図