ニュース

日立、知財情報を生かした経営・事業戦略の立案を支援する「特許情報分析サービス」を提供

「特許情報分析サービス」のイメージ図

 株式会社日立製作所(以下、日立)は6日、800社以上の顧客において、グローバルでの公開特許文献の調査や、社内での知的財産(以下、知財)の管理を支援してきた「日立知財ソリューション」を拡充し、新たに「特許情報分析サービス」として10月10日に提供開始すると発表した。

 特許情報分析サービスは、日立が長年にわたり特許調査支援サービスを提供するなかで、独自のテキスト解析技術などAIを用いて膨大な特許文献を整理・加工、蓄積してきた高精度な解析データを活用し、技術動向などを分析する。分析目的に応じたグラフの自動生成機能や、グラフを読み解く際のヒントを与えるガイド機能などの提供により、特許業務に関する専門スキルを持たない利用者でも、知財情報から新たな気づきが得られるような分析を可能にする。これにより、顧客における知財情報を生かした価値創出や経営・事業戦略の立案を支援する。

 特許分析が難しい要因のひとつとしては、目的は定まっていてもどのようにグラフ化すべきか悩むことが挙げられるという。サービスでは、「競合他社分析」や「技術トレンド探索」といった分析テーマに応じたグラフセットをあらかじめ用意しているため、利用者は目的に合ったテーマを選ぶだけで、適切なグラフで容易に可視化することが可能となる。

 また、特許文献の内容は、分野や出願人により用いられる言葉が大きく異なるため、高精度なデータ分析が難しいと言われているが、日立は「AI読解支援機能」などの提供を通じ、長年かけて整理・加工し、蓄積してきた解析データをもとに分析できるため、高精度な分析結果へと導けるとしている。

 特許分析の専門知識やスキルを持たない利用者の支援に向けては、分析結果を可視化したグラフを読み取るためのガイドや分析の進め方を提示する機能を提供する。利用者は、さまざまな観点で分析結果をみることで新たな気付きを得られやすいほか、システムから提案される次のアクションを参考に効率的な分析が可能となる。

 また、特許情報の分析を行うためには、目的にあった特許文献の収集を行い、社内の知財データをひも付けるといった、データ加工の準備が必要なため、分析実施までに手間と時間を要するといった課題がある。サービスでは、公開特許文献の調査を支援するサービス「Shareresearch」とのシームレスな連携により、分析に必要な集合データを作るためのデータのひも付けやデータ加工などの作業時間を大幅に短縮する。

 公開特許情報と社内の知財情報とをかけ合わせて分析することで、例えば、将来的な特許取得目標の達成に必要な投資額のシミュレーションが可能となり、IPランドスケープ推進に貢献する。具体的には、「Shareresearch」のデータから抽出した、競合他社の登録特許の件数推移から将来件数を予測し、「PALNET/MC6」の自社特許の状況から将来の目標件数を推測した上で、目標件数達成に必要となる投資額を試算する。

 日立は今後も、企業の経営・事業戦略の立案に携わるさまざまな立場の人が利用できるサービスを目指し、顧客からのフィードバックをもとに、サービスの機能拡張や改良を重ねていくと説明。さらに、特許関連システムをさまざま業種の顧客に提供する中で培ってきたな実績・ノウハウと、最新デジタル技術などを用いて「日立知財ソリューション」を継続的に進化させていき、これにより、グローバル展開を推進する企業の知財活用を支援し、経営・事業目標の達成に貢献していくとしている。