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AWS、臨床文書を自動作成する生成系AIベースの「AWS HealthScribe」を発表

 米Amazon Web Services(以下、AWS)は現地時間7月26日、ニューヨークで開催したAWS Summit New Yorkにおいて、HIPAA(医療保険の相互運用性と説明責任に関する法律)に対応した新サービス「AWS HealthScribe」を発表した。

 AWS HealthScribeは、AIを利用したHIPAA対応のヘルスケアサービス。これにより医療ソフトウェアプロバイダーは、診療記録を取り、メモを生成し、問診の内容を分析するという作業を自動で行うことで、臨床医の時間の節約につなげる臨床アプリケーションを構築できる。

 AWS HealthScribeを臨床アプリケーションに統合することで、医療提供者は組み込みのテキスト読み上げ機能を利用して、話者の役割を特定し、臨床的関連性に基づき記録をカテゴリー(世間話、主観的なコメント、客観的なコメントなど)に分類する、会話記録を作成できる。アプリケーションは、AWS HealthScribeの自然言語処理(NLP)と生成系AI機能を利用して、病状や医薬品などの構造化された医学用語を抽出し、関連する詳細情報(重要な事柄、受診理由、現在の病気の履歴など)を含む会話ベースのメモを生成する。臨床医はこれらを見て、最終的に電子医療記録(EHR)としてまとめられる。

 また、AWS HealthScribeは、生成系AI構築サービス「Amazon Bedrock」を利用した生成系AI機能により、2つの専門科(総合内科と整形外科)の臨床記録を作成するよう設計されている。これにより、医師はEHRに入力するための詳細情報を収集する必要がなくなり、問診に集中できる。AIが生成する臨床記録で使用されるすべての文には、元となる問診の会話記録への参照が含まれており、臨床医は記録の過去の背景情報を容易に確認できることにより、正確性と透明性の向上につながる。

 サービスにはデータセキュリティとプライバシーも組み込まれており、顧客の要求を処理した後は顧客データを一切保持することはなく、転送中および保管中の顧客データはすべて暗号化されるようになっている。医療ソフトウェアプロバイダーは、コンテンツの所有権を維持しながら、記録や暫定的な臨床記録をどこに保存するのかをコントロールできる。また、同サービスを通じて生成された入出力データが、AWS HealthScribeのトレーニングに使用されることはないとしている。