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IIJ、1枚のSIMで携帯電話網を切り替えて通信できる「マルチプロファイルSIM」を提供

 株式会社インターネットイニシアティブ(以下、IIJ)は27日、1枚のSIMカードで複数の携帯電話網に接続可能な「マルチプロファイルSIM」を、ネットワーク機器およびIoT端末事業者向けに提供開始した。

 マルチプロファイルSIMは、1枚のSIMカードの中に、複数の通信事業者のプロファイル(携帯電話網に接続するための情報)を保持でき、端末側で所定のコマンドを実行することにより自由に通信プロファイルを切り替えられる。例えば、IoTゲートウェイなどの端末に、携帯電話網の通信断を検知してプロファイルを切り替えるプログラムを組み込んでおくことで、人手を介さずサブ回線に移行して通信を維持できる。

 携帯電話ローミングの技術を用いることでも、1枚のSIMで複数の携帯電話網に接続は可能だが、当該SIMカードにプロファイルを提供するローミング事業者が運用する加入者データベースが正常に動作しなくなるような障害が発生した場合は、ローミングサービスも利用できなくなる。マルチプロファイルSIMでは、それぞれのプロファイルの加入者データベースは独立しているため、片方のプロファイルを管理する加入者データベースに障害が発生している場合でも、もう片方のプロファイルに切り替えて通信を継続できる。

 また、ローミング接続サービスは利用料金が高額になりがちだが、ローミング接続ではないIIJプロファイルをメインで選択することで、リーズナブルな料金で利用できると説明。使いすぎアラームメール機能や、使いすぎ通信停止機能を備えているため、意図しない過度な利用の防止もできるとしている。

 IIJでは、マルチプロファイルSIMの開発後、2022年10月からコネクシオ株式会社とPoCを行っており、今回、コネクシオのエッジコンピューティングゲートウェイ「CONEXIOBlackBear」の「モバイル回線自動切り替え機能」用に正式に採用されたことを発表した。同製品は、工場やプラントなどの現場に設置されたセンサーからデータ収集するためのIoTゲートウェイで、マルチプロファイルSIMを搭載することで、災害や携帯電話網設備の障害などで主回線の通信断が発生した際に、自動でサブ回線に切り替えられ、安定して継続的にデータ収集を行える。

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