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NECとNECフィールディング、量子コンピューティング技術を用いた保守部品の配送計画立案システムを構築 10月より本格導入

 日本電気株式会社(以下 NEC)とNECフィールディング株式会社は9日、量子コンピューティング技術を活用した保守部品の配送計画立案システムを構築したと発表した。両社では10月より、東京23区内の保守部品配送を対象に本格導入するという。

 NECフィールディングは、NEC製・他社製のICT機器/非ICT機器が故障した際、カスタマエンジニア(CE)が拠点から顧客の現場に出向いて保守作業を行うサービスを提供しており、CEのスキルや到着時間をもとに出動計画を作成し、交通事情を加味しながらパーツセンターから保守部品を配送している。

 しかし、緊急対応や定期保守、時間指定の対応など多様なオーダーが存在するのに加え、配送エリアや部品の種類・サイズ、トラック・バイクなどの配送手段の組み合わせは膨大になり、配送計画の立案作業に時間がかかっているとのこと。さらには、配送コストを抑えた効率的な配送計画を立案できる人材も限られるという。

 そこで両社では、量子コンピューティング技術により大規模な組み合わせ問題の超高速処理を実現する「NEC Vector Annealingサービス」を活用し、実証実験を2月より実施した。その結果、量子コンピューティング技術を活用して立案された配送計画が、熟練の作業者と同等程度の内容であることが確認できたため、第1段階として立案作業効率化・属人化解消に向け、翌日分の配送計画、約50件への適用に向けて新システムを開発。10月より本格導入を行うとした。

 なお同システムでは、毎日2時間かけて行っている配送計画立案の作業時間が10分の1(約12分)に短縮されるだけでなく、適用する業務範囲や対象エリアの拡大により、配送車の削減や距離の短縮化を実現し、配送コストを3割程度削減できる見込みとのこと。

 両社は今後、保守部品の配送計画の立案に関わる作業者の負荷軽減に加え、配送効率の向上によるコスト削減やCO2排出量の低減を目指して取り組みを進めるとしている。