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スズデン、東京物流センターのバックアップ/リストア基盤にネットワールドの「Veeam Backup & Replication」を採用
2022年6月9日 10:00
株式会社ネットワールドは8日、制御機器・電子機器などの総合商社であるスズデン株式会社が、東京物流センターのバックアップ/リストア基盤構築プロジェクトにおいて、ネットワールドが提供するVeeam Softwareの「Veeam Backup & Replication(以下、Veeam)」を採用し、本格稼働を開始したと発表した。
スズデンでは、ランサムウェアなどによるサイバー被害の拡大、テレワークや在宅勤務などの働き方改革など、環境変化の中でも常に商品を安定供給できるように、バックアップの環境整備に着手した。
バックアップシステムの導入にあたっては、セキュリティ基盤、テレワークのためのVDI基盤、およびバックアップソリューションを導入済みの基幹システムのソリューション置換という形で、3つの基盤を再編成した。複数のシステムを統合的にバックアップするため、管理の効率化に加えて、バックアップ/リストア速度を重要視したが、特にHCIおよび400台の仮想デスクトップ環境を保護する必要があるVDI基盤では、確実にバックアップウインドウ内で収められるかが製品選定のポイントとなったという。
こうした条件のもと、多くのソリューションを比較検討した中で、Veeamが選定された理由としては、バックアップ/リストア速度が優れていることに加えて、Veeam単体でバックアップとレプリケーションを行えることと、監視ツールの「Veeam ONE」があることだったという。事業継続の観点から、バックアップとレプリケーションを併用するケースも増えており、一つの製品導入で両方に対応できるVeeamは、コスト的にも高く評価されたとしている。
また、Veeam ONEは、単一のコンソールからシームレスに各仮想基盤を可視化でき、VDI環境における400台の各仮想マシンや、セキュリティ基盤で動く重要な仮想マシンに、エージェントをインストールする手間が無く、シンプルにリソースを監視できることが採用の大きな決め手になったとしている。
新しいバックアップ/リストアシステムでは、400台のVDI環境における約2.4TBのフルバックアップが約18時間、約650GBの日々の増分バックアップは2時間程度で完了。リストアは、1VMにつき約7分で終了するまでに短縮された。Veeamのシンプルな操作性も高く評価されており、VDIに何らかの障害があり、Veeamを立ち上げてリストアした場合でも、実質10分程度で終了するという。
また、以前はデータ復旧を試みた際に、前日のデータが破損しており、前々日に戻ってデータを復旧したことなどもあったが、Veeamは世代管理による確実なデータ復旧ができることが大きな利点だとしている。
セキュリティ基盤では、VMwareのスナップショットだけではなく、VeeamのAPIによりNetAppとストレージスナップショット連携を図ることで、バックアップを高速化している。VMwareによるスナップショット連携のみの場合、バックアップ処理に時間がかかったり、システムが瞬停(スタン)したこともあったが、ストレージスナップショット連携により仮想マシンのスナップショット作成から削除までをかなり短縮できるため、結果的に負荷を減らしてスタン発生を防ぎつつ、バックアップ時間も短縮できる。
会計基盤など業務運営に欠かせない仮想マシンは、Veeam経由でAmazon S3に二次コピーしており、さらにAWS上の「Veeam Backup for AWS」を活用して、Amazon VPC内にあるAmazon EC2インスタンス(DNSサーバー、Webサーバー)のバックアップをS3に保存している。Veeamは、EC2インスタンスをオンプレミスのVMware環境に直接リストアする、またはその逆も簡単に可能なため、コストメリットがある方にすぐ切り替えられる。クラウドを活用したハイブリッド運用は、異なる基盤にデータをリストアして業務を安定稼働できるため、ものづくりを支える企業には重要なポイントだとしている。
AWSのEC2インスタンス上に構築したVeeam ONEは、バックアップソフトウェアだけでなく、システム全体の運用にも役立っており、オンプレミス側の仮想基盤および仮想マシンを監視。仮想マシンのリソースやハードディスク容量、CPU負荷率などを一目で確認できるほか、定期的なレポートも発行され、インフラ上の気付きにくい変化にもすぐに対応できる。
また、Veeam ONEの運用は、ネットワールドのパートナーであるデジタルテクノロジー株式会社が担当しており、スズデンはアラートに基づく障害対策に集中して取り組むことができる。
スズデンでは今後、基幹システムのバックアップも随時Veeamに統合し、「Dell Power Protect DD(旧:Data Domain)」との連携による高い重複排除を活用して、より効率的なバックアップを実施する予定としている。