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日立、乗客の流れを予測・シミュレーションし混雑情報の分析結果を提供するサービス

 株式会社日立製作所(以下、日立)は、乗客の流れを予測・シミュレーションして、混雑情報の分析結果を提供する「人流予測情報提供サービス」を開発し、列車やバスなどの公共交通事業者向けに、1月27日から販売開始すると発表した。価格は個別見積もり。

 「人流予測情報提供サービス」は、日立独自のAI・シミュレーション技術により、交通事業者が持つ発着場所別の人数データや時刻表データを解析して、列車の乗車人数を高精度に推定し、駅や列車の利用者数、利用者の移動時間などを出力・提供するサービス。同サービスで利用されている推計技術では、移動需要を出発地と到着地の組み合わせの単位で予測し、時刻表データをもとにして列車に割り当てているため、駅を通過する利用者の目的地別の割合や、乗客の移動時間や列車待ち時間といった情報を出力することも可能という。

 交通事業者は、こうしたデータを活用することにより、列車の運行本数や運行間隔の見直しなどを行え、輸送業務における運用コスト削減に取り組めるほか、利用者向けに駅や車両ごとの混雑情報を配信すれば、利用者による、「密」を回避した経路や列車選択を支援できるとした。駅間ごとの乗員人数や利用者の移動時間の分析結果は、CSV形式の帳票や、情報配信サービス向けの画像形式で提供する。また、過去データをもとにAI技術で算出した将来の移動需要に、突発的な需要の増減要素を加味すれば、イベント日における需給バランスの事前評価も行える。

 さらに、日立が分析環境を構築し、分析の頻度や期間に応じて柔軟に利用可能な月額課金形態のサービスとして提供するので、交通事業者は導入時の手間やコストを削減できる点も特徴とのこと。

サービス概要図

 なお日立では、発着場所別の集計データや時刻表データといった各データの加工・分析で必要となる前処理において、交通事業者が保有するデータの性質や分析対象エリアの特徴にあわせ、適切なデータの処理方法を提案する。例えば、出発地から到着地まで複数の経路が存在するため、利用者数の把握が難しい場合には、あらかじめ複数の経路候補を用意し、配分処理やチューニング作業を行うことによって、より精度の高い情報を出力するとした。

 加えて、複数事業者が乗り入れ、利用者数を正確に把握できないエリアについては、国や自治体の交通量調査や昼夜間の人口統計などのオープンデータ、通信キャリアが提供する位置情報の統計データといった外部データの活用により、データを補完して分析精度の向上を図るといった、分析の前工程で必要なコンサルティングも提供する。

 日立では、「人流予測情報提供サービス」をLumadaソリューションの1つとして展開し、ダイヤ作成や車両・乗務員の配置・運用計画の立案といった日立の各種ソリューションと組み合わせて、交通事業者のDX(デジタルトランスフォーメーション)を支援する考え。

 サービスの正式提供に先立ち、東京地下鉄株式会社(以下、東京メトロ)のモバイルアプリ「東京メトロmy!アプリ」や公式Webサイトでの、東京メトロ9路線全区間の列車内と、全駅の改札口の混雑情報の配信に採用されているとのことだ。