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国内情報ガバナンス/コンプライアンス市場、2024年には498億円規模に拡大~IDC Japan調査
2020年11月11日 16:52
IDC Japan株式会社は11日、国内情報ガバナンス/コンプライアンス市場の2020年から2024年までの予測を発表した。国内情報ガバナンス/コンプライアンス市場は、2019年~2024年の年間平均成長率が2.5%で、市場規模(売上額ベース)は2019年の440億円から2024年には498億円に拡大すると予測している。
調査における情報ガバナンス/コンプライアンス市場には、重要なIT資産へのアクセス権の付与や権限の変更などを行うID管理、情報漏えいを防止するDLP(Data Loss Prevention)、エンドポイント暗号化、セキュアメッセージング(暗号化)、鍵管理、電子情報開示参考モデル(EDRM:Electronic Discovery Reference Model)の全範囲を網羅するeディスカバリーアプリケーションソフトウェア、セキュアなドキュメント共有やコラボレーションの機能などが含まれる。
今回の調査では、DLPと暗号化/鍵管理、eディスカバリーアプリケーションソフトウェア、ID管理について予測分析を行っている。国内暗号化/鍵管理市場の2019年~2024年の年間平均成長率は3.1%、市場規模は2019年の139億円から2024年には162億円に拡大すると予測している。
国内DLP市場は、2019年~2024年の市場規模は2019年の56億円から2024年では58億円とほぼ横ばいで推移。国内eディスカバリーアプリケーションソフトウェア市場は、2019年~2024年の年間平均成長率は5.5%、市場規模は2019年の65億円から、2024年には85億円に拡大すると予測している。
暗号化/鍵管理市場は、大規模な情報漏えい事件によってデータ侵害への危機意識が高まり、データ侵害に対するガバナンス強化への対策需要として市場が拡大してきた。一方、DLP市場は、データ分類やポリシー策定など導入/運用負荷が高いことが需要拡大の阻害要因となり、伸び悩んでいると分析している。eディスカバリーアプリケーションソフトウェア市場については、コンプライアンス対応やガバナンス強化を進める企業での内部不正調査やプライバシー法対応、民事や刑事訴訟での調査ツールとして、裁判所や監査事務所、規制当局などで活用されているが、利用している企業や組織は限定的だとしている。
2020年以降は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大によるリモートワークの普及により、クラウド上のデータを安心安全に活用するための情報ガバナンスとコンプライアンス対応の強化が求められると分析。また、EU一般データ保護規則(GDPR)や米国カリフォルニア州消費者プライバシー法(CCPA)、国内においても個人情報保護法の改正法案が可決/成立するなどプライバシーデータへの法規制が厳しくなっており、2021年の東京オリンピック/パラリンピックでの標的型サイバー攻撃の多発が見込まれることなどからも、クラウドネイティブな暗号化と鍵管理、クラウド型DLPソリューションへの需要が拡大すると予測している。
さらに、2020年6月に公益通報者保護法の改正案が可決/成立したことで、企業は内部通報があった場合には、内部通報の事実関係を調査する体制の整備が義務付けられたことから、内部調査を支援するeディスカバリーアプリケーションソフトウェア製品へのニーズが高まるとみている。
こうしたことから、国内ID管理市場については、2019年~2024年の年間平均成長率は1.4%、市場規模は2019年の181億円から2024年には194億円に拡大すると予測している。
ID管理市場は、日本版SOX法に伴う内部統制対策やコンプライアンスの強化、PCI DSSなどの業界規制や法規制の遵守のために導入され、市場が継続して拡大してきたが、オンプレミスのITシステムの多くは個別にID管理がなされ、サイロ化していると指摘。今後は、リモートワークの普及などにより、クラウドサービスへのアクセスコントロールとアクセスしたユーザーの挙動の監視が重要なセキュリティ対策となり、ユーザーIDの登録から削除までのライフサイクル管理、IDのコンテキスト情報の定期的な確認、アクセス後のID情報によるユーザーの行動分析など、ID管理のガバナンス強化が図れるソリューションへのニーズが高まるとしている。
IDC Japanソフトウェア&セキュリティ リサーチマネージャーでの登坂恒夫氏は、「ITサプライヤーは、ユーザー企業に対してサイロ化した情報ガバナンス/コンプライアンスの排除を訴求すべきである。そのためには、オンプレミス環境とクラウド環境に対応した情報ガバナンス/コンプライアンス製品の導入を推進していく必要がある」と述べている。