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国内アプリケーションPaaS市場、2019年は前年比20.9%増の成長~IDC Japan調査

 IDC Japan株式会社は6日、国内アプリケーションPaaS(Platform as a Service)市場について、2019年の実績と2020年~2024年の予測を発表した。

 IDC Japanでは、アプリケーションPaaS市場を、パブリッククラウドサービスにおいて、Java EEや.NET、Springなどの標準フレームワークで構築されたアプリケーションの実行環境を提供する「デプロイメントセントリックアプリケーションプラットフォーム(DCAP)市場」と、開発とランタイムを1つのプラットフォームに結合して、GUIやビジュアルモデリング機能を備えてドラック&ドロップや単純なスクリプトでアプリケーションの構築を可能とし、実行環境を提供する「モデル駆動型アプリケーションプラットフォーム(MDAP)市場」の2つで構成している。

 2019年の国内アプリケーションPaaS市場は、前年比成長率が20.9%、市場規模は306億6600万円と推計。ウェブアプリケーションの実行環境がオンプレミスからクラウドサービスへシフトしていることや、コンテナアプリケーションをはじめとするクラウドネイティブアプリケーションの実行環境としてDCAPの利用が拡大していると分析。また、企業において、業務やビジネスの柔軟性を高めるために、業務アプリケーションの迅速な開発に対するニーズが高まり、ローコード/ノーコード開発機能を備えたMDAPの需要が拡大しているとしている。

 2020年の市場については、前年比成長率が13.0%、市場規模は346億5800万円となり、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による景気後退により、企業におけるITシステムの開発/導入案件の中止や凍結などが起こるため、市場の成長は一時的に減速すると予測。

 一方、COVID-19が収束に向かうことが予想される2021年からは成長が再加速し、2022年が前年比成長率のピークを迎え、2019年~2024年の年間平均成長率は17.7%と予測している。DCAPは、JavaアプリケーションのオンプレミスからPaaSへの移行の加速とDXに向けたクラウドネイティブアプリケーション開発の増加により、非常に高い成長が見込まれ、MDAPは、ローコード/ノーコード開発やワークフローの自動化に向けた活用が拡大していくとしている。

 IDC Japan ソフトウェア&セキュリティ グループマネージャーの入谷光浩氏は、「DXの進展によってアプリケーションは大きな変革期に入っている。開発の迅速化と容易化、実行環境の拡張性とアジリティを高めるためには、アプリケーションPaaSの活用が重要になってくる。さらにCOVID-19を契機として、企業は事業継続性のさらなる強化のため、オンプレミスのアプリケーションプラットフォーム環境をPaaS環境に移行する戦略を推し進めていくであろう」と述べている。

国内アプリケーションPaaS市場予測:2018年~2024年(出典:IDC Japan)