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NEC、印刷速度を向上させた水平型ドットインパクトプリンタ「MultiImpact 720AEN」など3機種を発売

 日本電気株式会社(以下、NEC)は15日、ドットインパクトプリンタ「MultiImpact」シリーズの新製品として、印刷速度を向上させた水平型ドットインパクトプリンタ「MultiImpact 720AEN」「MultiImpact 720SEN」と、大量の伝票や文書を高速に印刷するライン型ドットインパクトプリンタ「MultiImpact 750/500E」を発売した。

 同社が水平型ドットインパクトプリンタの新製品を発売するのは5年ぶり、ライン型ドットインパクトプリンタの新製品を発売するのは15年ぶりとなる。

MultiImpact 720AEN(右)とMultiImpact 720SEN

 ドットインパクトプリンタは、複写用紙で情報を共有する用途や、官公庁で利用する特殊帳票、オフィスや工場、物流センターにおける複写伝票の印刷などにおいて根強いニーズがあり、印刷を行う現場では高速化や効率化が求められてきた。

 新製品は、こうした要望に応えたもので、「MultiImpact 720AEN」では、MultiImpactシリーズとしては過去最高となる、漢字全角の印刷で最高360字/秒の高速印刷を実現。「MultiImpact 750/500E」では、給与明細や請求書、物流伝票へのバーコード印刷など、基幹業務における伝票出力の省力化と効率化に貢献するという。

 NEC プラットフォームソリューション事業部量販プロモーショングループの古賀義治氏は、「ドットインパクトプリンタは、一定のニーズがあるものの、製品化しているメーカーが限られたり、ライン型ドットインパクトプリンタでは、特定システム向けに販売が限定されたりといったことが起こっている。NECでは、多くのユーザーが幅広く利用できることを狙ってドットインパクトプリンタを製品化しており、官公庁や大手企業のほか、中堅・中小企業にも提案をしていく」と語る。

 流通業界では、仕入れ伝票と発注書に5枚つづりの複写伝票「チェーンストア統一伝票」を使用。廃棄物管理業では、7枚つづりの「マニュフェスト伝票」を、宅配業者では独自の5~8枚の送り状を使用しているなど、用途が広い。

 「定期的に配送をする企業では、送り主の欄に会社名や住所などが印刷されている場合があるが、これも複写印刷が可能なドットインパクトプリンタによるもので、複合機やレーザープリンタでは対応が困難な領域だといえる」とする。

 同社では、物流業者の宅配伝票に加え、各種納付書、運転免許証更新および申請書などの官公庁需要、ホテルや観光地での請求書・見積書、農家などの個人事業主といった、幅広い利用を視野に入れている。

自動斜行補正・用紙セットフリー機能を備えた「MultiImpact 720AEN」

 新製品のうち「MultiImpact 720AEN」は、各社宅配伝票や複写紙、連続紙、A3~B5サイズまでの各種カット紙、封筒、ハガキ、ラベル紙、名刺など、ビジネス上で使用する暑さや大きさが異なる用紙に印刷でき、最大で9枚つづりの複写紙にも印刷が可能となっている。

MultiImpact 720AEN

 また、自動斜行補正・用紙セットフリー機能の搭載により、使い勝手を向上しているのも特徴だ。単票をセットする際に、用紙傾きを自動で補正。用紙の左端を検出して印字開始位置を決められるため、いままで行っていた、用紙に対する左右の位置あわせなど、用紙セット時の煩わしさを解消できる。

 実際にやってみたが、カットシートフィーダーにかなり斜めに単票を載せても、すぐに傾きを直して、適切な位置に印字を行うことができた。

斜めに単票を載せてもすぐに傾きを直して、適切な位置に印字を行う
矢印の範囲に置けば単票の傾きを修正してくれる

 また、給紙方式を選択できるマルチウェイローディング機能を搭載。手差しのほか、標準添付のトラクタフィーダーにより、フロントおよびリアからの連続用紙の給紙を可能にしている。

 さらに、オプションのトラクタフィーダーを装着することで、2種類の連続用紙をフロントとリアに同時にセット可能だ。最大4種類の帳票などを切り替えながら印刷できることから、設置場所や用途にあわせて柔軟に給紙方式を選択でき、印刷作業効率の向上につなげた。

トラクタフィーダーにより、フロントからの連続用紙の給紙が可能
オプションのリアカットフィーダーを装着したところ
リアのトラクタフィーダーに用紙をセットした様子
フロントカバーを開けたところ

 なお、用紙を曲げずに印刷ができる水平インサータ方式を採用していることから、用紙走行が安定し、紙詰まりや印刷のズレが少なく、スムーズな用紙の給排出を実現。用紙の厚さに応じて印刷ヘッドと用紙の感覚を自動で調整したり、用紙の切り離し位置まで自動で紙送りしたりするなど、使い勝手も追求している。

 カートリッジの交換に加えて、インクリボンそのものを交換することも可能にしており、廃棄物の削減とコスト削減を実現しているのも特徴だ。

印刷された複写式単票
MultiImpact 720AENの操作パネル
「MultiImpact 720AEN」および「MultiImpact 720SEN」のインクリボンの長さは約50メートルになり、ANKドラフトで約1500万字の印刷が可能だ

 価格はオープンだが、同社直販サイト「NEC得選街」での価格(税別)は、360字/秒の高速印刷を行うMultiImpact 720AENが51万8200円、160字/秒のMultiImpact 720SENが21万4900円となる。

MultiImpact 720SEN

高速印刷に対応した「MultiImpact 750/500E」

 ライン型ドットインパクトプリンタ「MultiImpact 750/500E」は、行方向をまとめて一度に印刷できる大型印刷ヘッドを搭載。複写枚数が多い用紙やラベル紙などの高速印刷が可能となっている。

MultiImpact 750/500E

 漢字全角で最大660行/分の高速印刷が可能であり、最大8枚つづりまでの複写紙への印刷が可能だ。通常の120dpiのほか、高品位の180dpi、高速の90dpiでの印刷のほか、3種類の印刷濃度の設定も可能となっている。

 「大量なリストの出力業務には高速モード、細かなバーコード印刷には高品位モード、複写枚数が多い伝票には印刷濃度設定で調整を行うといったように用途に応じて設定を変更できる」という。

大量の連続帳票をセットすることができる
連続帳票をセットしたところ

 インクリボンの交換時期や清掃時期などを液晶パネルに表示。用紙交換のための開閉扉を装置の前方/背面/左面に用意しており、壁に寄せて設置した際も、いずれかの扉から用紙交換ができる。設置場所の制約にも柔軟に対応できる。

MultiImpact 750/500Eの操作パネル
リボンインクの様子
印刷が終わった帳票をストックしている様子
複数方向の扉を開けることができる

 MultiImpact 750/500EのNEC得選街での価格は、240万600円(税別)。

 同社では、「MultiImpact 720AEN」および「MultiImpact 720SEN」で数千台規模の販売を目指すほか、「MultiImpact 750/500E」では数百台規模の販売を目指す。