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NEC、通信事業者ネットワークへのサイバー攻撃をAIを活用して検知・分析する製品を開発

 日本電気株式会社(以下、NEC)は8日、通信事業者のネットワークを流れる信号情報を基に、サイバー攻撃の検知・分析を行うAI製品を開発し、販売を開始した。

 NECでは、通信事業者ネットワークの開発で培ってきた業務オペレーションの知見や通信信号に関する知識と、NECの研究所の技術を組み合わせて、通信の制御信号(C-Plane)のデータが持つ特徴をAIでモデル化し、サイバー攻撃の検知と統合的な分析を実現する製品を開発した。

 同製品の導入により通信事業者は、セキュリティ機器による過検知/誤検知を含む脅威の検知に対してアナリストが調査・分析する稼働を削減し、サイバー攻撃を検知・分析する一連の稼働工数を最大90%削減できるとしている。また、SOCの運用で課題となる未知の手法によるゼロデイ攻撃の検知も可能となる。

 さらに、監視・分析対象とする信号、プロトコルの特徴を追加することで、他の国内・海外通信事業者や固定・移動通信事業者が運営するネットワークとの境界にも適用可能になり、外部ネットワークからの脅威にも対応することで安全性を向上する。

 従来のネットワーク機器の利用状況の情報を用いた分析ではなく、公衆電話網のSS7(共通線信号No.7)をはじめとした通信の信号を分析。これにより、ネットワーク機器のベンダーや構成に依存しない分析を実現する。

 NECが培ってきた、通信事業者ネットワーク固有のプロトコルや通信信号に関する知見を基に、制御信号の特徴を抽出してモデル化するAIを開発し、人によらない分析を実現。ホワイトボックス型AIにより、AIが導き出した結果に至る理由(判断根拠)が確認可能で、従来の既知の攻撃とマッチングする手法とは異なり、平時の通信状態をモデル化し、その基準から大きく外れた振る舞いを示した通信をサイバー攻撃の可能性と判断する。

 NECでは、2020年度までの3カ年の中期経営計画「2020中期経営計画」のもと、ネットワークの強みを活かした新たな領域におけるサービス事業を推進しており、今回開発した製品の提供により、ネットワークを柔軟に活用し、人・モノが生み出すデータを賢くつなぐ「NEC Smart Connectivity」の提供を加速し、新たな社会価値を創造していくとしている。