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日立、IoTを活用した上下水道事業のクラウドサービス「O&M支援デジタルソリューション」を提供

 株式会社日立製作所(以下、日立)は10日、上下水道事業における運用・保全業務の可視化・省力化・効率化やノウハウの継承などを支援するクラウドサービス「O&M(Operation & Maintenance、運用・保全)支援デジタルソリューション」を10月1日に提供開始すると発表した。

 O&M支援デジタルソリューションは、上下水道事業運営に関わる設備情報や運転情報、作業記録、故障・修理情報などのさまざまなデータを、IoTを活用してクラウド上に収集し、AIやアナリティクス、ARなどの先進のデジタル技術を活用することで、運用・保全業務の可視化・省力化・効率化やノウハウの継承を支援するクラウドサービス。

国内の上下水道事業は近年、プラントの老朽化に伴う維持・更新の追加投資や、人口減少に起因する事業収入の減少により事業運営のさらなる効率化が求められており、また、熟練運転員・技術者の減少に伴いノウハウの継承が課題となっており、こうした問題に対するソリューションとしてサービスを提供する。

 サービスの第一弾としては、3つの機能を10月より提供。「設備保全支援機能」は、ARを活用し、眼鏡型ウェアラブル端末や点検端末(タブレット端末)を通じて、マニュアルや過去の故障・修理履歴の参照、作業のナビゲーションや熟練者による遠隔指示を行うことが可能にする。これにより、保全・点検作業に不慣れな作業員の安全確保や業務品質の向上、ノウハウの継承などを支援する。

 「プラント監視機能」は、IoTの活用により、センサーからデータを収集し設備の稼働状況を可視化する。「台帳機能」は、設備の稼働年数や故障・修理履歴、点検端末から入力された点検結果などの情報をデジタル化し一元管理する。

 これら3つの機能を連携させることで、効率的なアセット管理や運用・保全業務の改善・効率化を支援する。

 また、日立では、AIやアナリティクスを活用して運用・保全業務を効率化する機能の提供を計画しており、現在、日立が運用を受託している複数のプラントで実証試験を行っている。

 今後は、主要機器や設備の過去の運転実績データや点検データを基に設備の状態を診断することで、CBM(Condition based Maintenance、状態基準保全)を可能とする「設備状態診断機能」や、AIを活用して熟練者の運転実績データから抽出したノウハウを基に効率的な運転業務を支援する「プラント運転支援機能」、過去の運転実績データと環境条件などのオープンデータを組み合わせ、AIを用いて原水水質を予測し、薬品注入量などの適正化を支援する「水質予測機能」などの機能の提供を予定する。

 日立では、水総合サービスプロバイダーとして長年培った水事業におけるOTおよびプロダクトの実績・ノウハウに、多様な分野での豊富な実績と知見を持つITを組み合わせて、上下水道事業者が抱える多くの課題解決に貢献していくと説明。今後、機能を順次拡充し、上下水道事業全般の経営課題の解決に貢献する総合デジタルソリューションとして、上下水道事業体などに提供していくとしている。