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大日本印刷と図研エルミック、IoTのセキュアな通信環境を構築するVPNのライセンス契約を締結

IP監視カメラやビューアーの開発に向け協業

 大日本印刷株式会社(以下、DNP)と図研エルミック株式会社は2日、DNPが開発したインターネット上でセキュリティ性の高い機器間の通信環境を構築するVPNサービス「DNP Multi-Peer VPN」のライセンス契約を締結した。

 図研エルミックでは、PCやモバイル端末で動画を視聴するためのマルチOS対応ビューアーソフトウェアを開発できる、ソフトウェア開発環境「Ze-PRO SCP」を、主に監視カメラ開発者をターゲットに提供している。しかし、インターネット上で監視カメラ映像を通信する際には、映像の流出や不正アクセス対策など、情報セキュリティの確保が重要となる。

 今回のライセンス契約により、Ze-PRO SCPにDNP Multi-Peer VPNを組み込むことで、Ze-PRO SCPのユーザーはビューアーを開発する時点でVPN機能を実装することが可能になり、システム開発にかかる時間とコストを削減できる。

 図研エルミックでは今後、IoT化への動きが進むFA(ファクトリーオートメーション)系、車載系システムの開発に携わる顧客に対しても、積極的に提案していくとしている。

 DNP Multi-Peer VPNは、複数のネットワークカメラの自動認証と機器間通信(Peer to Peer通信)を可能にするため、特別なVPN装置を必要とせず、カメラから直接、画像データを安全に送信できる。ソフトウェアをインストールするだけでVPNを実現し、同時に複数のP2P接続が可能となるDNP Multi-Peer VPNは、図研エルミックがZe-PRO SCPのメインターゲットとしている、ONVIF準拠のIP監視カメラのソリューションに最適だとしている。

 DNPは、ネットワーク経由での各種機器間通信からの情報漏えいリスクの高まりを受けて、2015年から中継サーバーを介さずに認証機能や暗号化によって通信機器同士のセキュアな通信環境の構築ができるDNP Multi-Peer VPNを提供している。既にネットワークカメラメーカー大手のアプリケーションとしてDNP Multi-Peer VPNを提供しているほか、自動車開発時の走行テストデータの通信などに導入されている。

 今回、さらに多くのカメラメーカーやカメラを利用する企業に向けて拡販するため、図研エルミックへのライセンス供与に至ったと説明。監視カメラ用途以外にも、図研エルミックのFA分野に向けたカメラと製造機器の連携システムや、車載分野向け通信プロトコルなどの製品をベースとしたFA市場、車載市場に向けたDNP Multi-Peer VPNの浸透を目指すとしている。