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NECと米GE、IoT分野で包括的提携 “インダストリアルIoT”の実現に向けてグローバルで協業

 日本電気株式会社(以下、NEC)と米GE Digitalは26日、顧客企業でのデジタル・トランスフォーメーションの促進に向けて、IoT分野で包括的な提携を締結したと発表した。同日行われた記者会見では、NEC 執行役員の榎本亮氏と米GE チャネル・アライアンス・ビジネス開発 ベンチャー担当 グローバル責任者のデンジル・サミュエルズ氏が登壇し、包括的提携の狙いや提携にともなう両社の取り組みについて説明した。

会見で握手する米GE チャネル・アライアンス・ビジネス開発 ベンチャー担当 グローバル責任者のデンジル・サミュエルズ氏(左)と、NEC 執行役員の榎本亮氏

 今回の包括的提携は、システム構築やその運用面で幅広い技術と豊富な実績をもち、AI(人工知能)やIoTなどの先進技術を有するNECと、産業向けプラットフォーム「PREDIX」を有しグローバルで「インダストリアル・インターネット」を推進するGEが協業することで、日本企業向けIoTソリューションの開発から導入・保守サポートにいたるまで一貫した体制を構築するもの。これにより、先進かつ高信頼なIoTソリューションの提供が可能になるという。

 提携に至る背景として、米GEのサミュエルズ氏は、「世界的にインダストリアル事業の生産性が低下している中で、当社は“デジタル・インダストリアル・カンパニー”戦略を展開。産業向けクラウドプラットフォーム『PREDIX』によって、インダストリアル事業のデジタル化を推進している。今回、NECと提携することで、第4次産業革命の実現を目指す」と述べている。

 一方、NECの榎本氏は、「地球の人口は増加を続けており、特に都市部の人口は、2050年には現在の1.8倍になると予測されている。当社では、そうした中で生じる社会課題をICTで解決するべく、犯罪防止・インフラ維持・エネルギー供給などの分野で、最先端AI技術を活用した社会ソリューション事業を展開してきた。GEとの提携によって、これらの社会ソリューションを世界に提供し、地球の課題解決に貢献していく」との考えを示した。

米GE チャネル・アライアンス・ビジネス開発 ベンチャー担当 グローバル責任者のデンジル・サミュエルズ氏

 「NECの持つIT領域における高い技術力と、当社がもつオペレーション・テクノロジー(OT)領域の技術が融合することで、“インダストリアルIoT”という新たな市場を生み出すことができる。例えば、飛行機のエンジンにIoTを組み込んだインテリジェントエンジンが実現すれば、インダストリアル事業のビジネスそのものを変革させられる可能性がある」と、米GEのサミュエルズ氏は、今回の提携がもたらす意義について語る。

 これを受けて、NECの榎本氏は、「当社も全く同じ考えをもっている。GEは、インダストリアル・インターネットを実現するプラットフォーム『PREDIX』で確固たる地位を築いており、100年以上の歴史をもつ製造業のノウハウも有している。今後、自社のグローバルサプライチェーン革新プロジェクトに『PREDIX』を導入するなど、パートナーシップ体制を強化し、インダストリアルIoT事業の拡大を図っていく」と意欲を見せた。

NEC 執行役員の榎本亮氏

 具体的な提携内容としては、米GEの役割として「PREDIXを活用しサプライチェーンマネジメントを最適化」、NECの役割として「PREDIXへNECの先進技術を導入」、「保守&メンテナンスの提供」、両社の協業展開として「PREDIXの共同マーケティング活動を実施」、「研修サービスの提供&認定技術者の育成」、「IT&OTサイバーセキュリティ」を挙げている。

NECと米GEの提携内容

 「PREDIXを活用しサプライチェーンマネジメントを最適化」では、米GEの「PREDIX」を、NEC自社の海外における大規模プロジェクト管理に導入する。これにより、海外プロジェクトのサプライチェーン全体を効率化し、オペレーションコスト削減を図るとともに、「PREDIX」の提供ノウハウを獲得する。また、基幹システム連携の確立も目指す。

 「PREDIXへNECの先進技術を導入」では、NECの最先端AI技術群「NEC the WISE」をはじめとする要素技術の一部をマイクロサービス化し、クラウドサービスとして、PREDIX開発者向けサイト「PREDIX.io」でグローバルに提供することを検討していくという。

 「保守&メンテナンスの提供」については、NECが有するICTシステムの保守技術により、PREDIXおよびPREDIX上で稼動するアプリケーションの顧客サポートを開始する予定。

 「PREDIXの共同マーケティング活動を実施」では、NECが自社に導入して得た「PREDIX」のノウハウと、米GEのグローバルでの「PREDIX」導入ノウハウを生かし、共同マーケティングを実施するとともに、「PREDIX」を活用したソリューションを提供していく。

 「研修サービスの提供&認定技術者の育成」では、NECグループが提供するIT研修サービスにPREDIX専用プログラムを追加し、日本国内におけるPREDIX認定技術者を育成・拡充する。

 そして、「IT&OTサイバーセキュリティ」では、米GE傘下のWurldtechが有するIoTに特化したOT領域のサイバーセキュリティ技術と、NECのIT領域のセキュリティソリューションを組み合わせ、ITとOTの両面にわたるサイバーセキュリティソリューションの提供を検討していく。