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SDSの国内需要動向、導入効果を見込みやすい大企業を中心に普及が進む見通し~IDC Japan調査

 IDC Japan株式会社は29日、SDS(Software-Defined Storage、ソフトウェア定義ストレージ)の国内需要動向に関する分析結果を発表した。国内市場におけるSDSの認知度や利用率は、まだ低いながらも上昇傾向にあり、SDSの普及は導入効果を見込みやすい大企業を中心に進むとしている。

 SDSの導入状況および利用意向に関する調査では、「現在利用中」が23%、「2年以内に導入を計画」が17%、「検討しているが時期未定」が14%、「利用予定はない」が24%、「分からない」が22%となった。

Software-Defined Storageの導入状況および利用意向(出展:IDC Japan)

 前年の2015年の調査と比較すると、「利用中/計画中」または「利用予定はない」という、方針をすでに決めている回答が多くなり、「検討中」とする回答が少なくなった。これは、SDSに関する理解が進み、自社に適した製品なのかどうかという判断ができるようになったユーザー企業が増えたが、全体の2割以上は依然として「分からない」とする回答であり、SDSに対する知識や関心が低いユーザーも多く残っていると分析している。

 SDSの導入理由についての質問では、「コスト削減」と回答したユーザーが多数を占めた。コモディティサーバーを用いてストレージインフラを構築できることは、調達コストを削減すると考えられる上、保守料金も抑えることが可能であり、運用コスト削減にも寄与すると期待されるとしている。一方、「上位の管理ソフトウェアで制御できる」という回答については少ない傾向にあり、運用の自動化、プロビジョニングの迅速化といったSDSのメリットについては、まだ評価するユーザーの割合が低いとしている。

 IDC Japanでは、これらの回答傾向から今後のSDS市場の動向を予測すると、SDS導入の利点はデータ保有量の多い大企業においてより高く認識されており、導入の判断もコスト削減を達成できるか否かを基準にする傾向が強いことから、SDSの導入効果が発揮されやすい大企業を中心に国内市場の発展が見込まれるとしている。

 IDC Japanエンタープライズインフラストラクチャ リサーチマネージャーの鈴木康介氏は、「ITインフラストラクチャの運用自動化を進める必要性に対する国内ユーザーのコンセンサスは徐々に形成されつつあり、Software-Defined Infrastructure、Software-Defined Datacenterなどの言葉で表される『ソフトウェアによって制御される高度に効率化または自動化された柔軟なITインフラストラクチャの運用環境』はエンタープライズITインフラ発展の方向性として徐々に認知されてきている。国内市場においてはSDS市場の形成が緩慢である一方、グローバル市場ではポジションを確立しつつあるため、今後、外資系ベンダーのSDS製品が国内市場にも浸透していく見通しが高い」と分析している。