“iPhone 2.0”はiPod nanoベースか3Gか?-焦点は早くも次機種に



 「iPhone」が、世界中の注目を集めるなかで発売された。アップルストアには徹夜の行列ができ、レビューや分解記事も一斉に掲載され、あらためて関心の高さを見せつけた。そして次の焦点になっているのが“iPhone 2.0”こと第2世代iPhoneだ。アナリストが次のモデルのiPhoneの予想を披露したことで報道と未確認情報が乱れ飛んでいる。次のiPhoneは廉価版か、3Gか、それとも…。


 第2世代iPhoneに関するうわさは、第1世代iPhoneの発売前からAppleファンの間で広がっていた。これが大きくメディアに取り上げられるようになったのは、JPMorgan Chaseの台湾のアナリスト、Kevin Chang氏が7月9日に発表したレポートがきっかけだ。

 Chang氏はこのなかで、Appleが「iPod nano」をベースとしたiPhoneを2007年第4四半期に発売するという予想を述べた。Chang氏はAppleの特許申請状況など材料に、「iPhone nano」こと第2世代のiPhoneはタッチパネルではなく、iPodで利用しているスクロールホイールを利用したものになると推測した。価格は、現行の499ドル/599ドルよりも安く300ドル前後とみている。これをAP通信などが一斉に世界に伝えて、一気に第2世代iPhoneへの関心が高まった。

 ところが翌7月10日、同じJPMorganのアナリストが別のレポートを発表してこの予想を否定する。レポートを作成した3人のアナリストは、AppleがiPodの廉価版「iPod mini」を投入したのは初代iPodの2年後であることなどを根拠に、AppleがすぐにiPhoneの廉価版を販売する可能性は低いとした。Chang氏の予想に疑いを投げかけたもので、第2世代は3Gをサポートした機種になる可能性の方が高いとみている。


 これらは状況証拠に基づくアナリストの予想とも言えるのだが、次に具体的な動きについての報道が中国から飛び出してきた。

 中国語ニュースのCommercial Times紙は、台湾のメーカーWintekがAppleとタッチスクリーン製造契約を結んだと報じた。これを伝えた台湾のDigitimesによると、第2世代のiPhoneは9月発売で、価格は249ドルから299ドル。さらに、AppleがWintekを訪問して製造に関する説明を行っており、間もなくテスト製造に入る、という。Digitimesはほかにも、Quanta Computerが第2世代iPhoneの製造元となると伝えた他の中国語メディアの報道も紹介している。

 専門メディアも中国メディアに抜かれっぱなしではいられない―。Apple動向やうわさをいち早く伝えることで定評があるAppleInsiderは7月19日、Appleが年末商戦向けに新しい機種を投入すると伝えた。

 AppleInsiderが言う「非常に信頼できる情報筋」によると、iPhoneは会計年度2007年に2機種のiPhoneを発売する計画で、2機種目は低価格でiPodの機能を取り入れたものになるという。AppleInsiderの情報はJPMorganのChang氏の予想に近いもので、クイックホイール、バックサイドタッチ画面などの特許出願をもとに、「革命的なユーザーインターフェイス」を搭載した機種としている。


 iPhoneの熱狂はとどまるところを知らない。Google Newsが拾うiPhoneニュースを集計している「iPhone Buzz Index」(Blackfriars Communications作成)によると、17日現在のiPhone関連記事は20,497件にのぼった。

 一方、Appleだけでなく、WintekなどiPhoneと絡んで名前が挙がった会社の株価が急上昇しているようだ。これも一種の“iPhone効果”で、市場の憶測だけであったとしても該当する企業にはありがたい話だろう。

 Appleが次にどのようなiPhoneを出してくるのか、いつ出すのかは、なおはっきりしない。が、ハイテク業界にとって今年がiPhoneイヤーとなることは間違いなさそうだ。

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(岡田陽子=Infostand)
2007/7/23 09:15