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NestがスマートホームRevolvのサービス打ち切り Alphabet-Googleの悩み

買収企業の不協和音

 一方で、Nestの業績への懸念も浮上している。2014年はじめに同社をGoogleが32億ドルで買収すると発表した当時、共同創業者でCEOを務めるTony Fadell氏の素晴らしい履歴(Apple出身で、「iPod」開発の中心人物の一人とされる)もあり、Googleの新しい事業の柱となるかと期待されていた。

 だが、Business Insiderは「(Nestには)Googleに買収されてから、成功した新製品が出ていない」と指摘する。AlphabetはNestに2016年中にスマートホームセキュリティ製品を投入するようプッシュしているというが、成果の速度は遅いという。Forbesは、Revolvの終了はNestが新しい製品ローンチを行う準備に入ったことを意味すると読む。そして、Nestは4つの新製品を投入する計画であるとThe Informationが報じていることに触れながら、「Flintstoneというコード名の製品は、ここ数年で何度も方向性が変わっている」と難航していることを示唆した。

 Re/Codeは内部情報を入手して、さらに詳しく事情を暴露している。Nestは2015年に3億4000万ドルを売り上げたが、これはGoogleが買収当時に設定した予想を下回っているという。Nestは買収時、年間3億ドルの売り上げ目標を課されたというが、買収から2年経過後もまだこの金額に達しておらず、3億4000万ドルも、Nestが買収した家庭用監視カメラDropcamの売り上げを加えてのものだ。

 さらには、そのDropcam買収についても、うまくいっていない様子が露呈している。NestはGoogleに買収された6カ月後に5億5000万ドルでDropcamを買収したが、NestのFadell氏とDropcamの元CEO、Greg Duffy氏は公の場で互いを攻撃し合っている。

 例えば、Fadell氏がThe Informationに対し、「(Dropcamの)スタッフの多くは、期待していたほどよい人材ではなかった。残念ながら経験のあるチームとはいえなかった」とけなせば、Duffy氏も自身のメディアプラットフォームMediumで、Dropcamに対するユーザーの高評価を挙げながら、100人のDropcamのチームとNestと比較すると「むしろNestの方がそれほどよくはないはず」と反撃した。

 さらにDuffy氏は「Nestに売却したのは間違いだった」とまで公言する。なお、Duffy氏を含め、Dropcamのスタッフの約半分が既にNestを辞めている。

(岡田陽子=Infostand)